2012/12/13

ビバ IKEA?

IKEAにはシアトルでの学生時代からお世話になっています。カリフォルニアに引っ越してからも、それは変わりません。その後コロラドに引っ越した時には近くにIKEAがなく、「一体どこで家具を買えばいいの?」と途方に暮れたのを覚えています。もちろん、コロラドに住んでいる人だって家具を買っているわけで、家具屋さんは当然あるのですが、学生時代は家具と言えばセカンドハンドで安く買ったものか、IKEA で、となんとなく決まっていたので、卒業してもその感覚が抜けなかったようです。

IKEAの魅力はやはり何といっても、その安さとデザイン性ではないでしょうか。「こんなに可愛いものがこんなに安く!?」と、初めてIKEA に行った時は大変驚いたものです。また、上の階のディスプレーセクションはIKEAの家具や品物の「使い方例」を示して客にインスピレーションを与え、下の階には雑貨と倉庫、という大変ウマいやり方をしていて、しかもそのほとんどを回らないと出口にたどり着けない仕組みになっていて、買うつもりのなかったものまでついつい手を出してしまうという始末です。しかし、アメリカに住んでいた頃は、IKEAは近くにはありませんでした。少なくとも車で一時間かかる距離にあり、「ちょっとIKEAまで」というよりは、「今日はIKEAに行くぞ!」という心持ちでした。特にシアトルに住んでいる時は車を持っていなかったので、車を持っている友達に便乗してやっとIKEAに行くことができる、という状態でした。

その後ノルウェーに引っ越して来て、IKEAはノルウェーの人にとって、かなり身近な存在であることを知りました。まず、立地。スタヴァンゲルでは、中心街からでも車で10分。もちろん広い駐車場つき。私たちなどはIKEAは通勤の途中にあり、毎日IKEAの横を通って仕事に行きます。そして、デザイン。IKEAはお隣のスウェーデンが本社なので、デザインはスカンジナビアンで、ノルウェー人の感性とも一致します。そして、もちろん値段。物価の高いノルウェーでは、機能的なものを安く買えるIKEAはやはり心強い存在です。こにらに引っ越してきたばかりの頃、何軒かのお家を訪問したとき、どのお宅でも同じグラスを使っていて、「これは一体どういうこと?もしかして政府配給?」なんて思ったら、なんとIKEA製。そう、IKEAはそのくらいノルウェーでは普及しているのです。

2012/12/09

新居に新家電

新居に引っ越してからもうすぐ一ヶ月経ちますが、やっと荷物の整理も一段落して少し落ち着いてきた今日この頃です。理由のひとつには、お店に私たちが選んだ冷蔵庫の在庫がなく、3週間も待って、やっと先週配達されてきたのです。一緒に買った洗濯機と乾燥機も一緒に配達されてきたため、結局冷蔵庫、洗濯機、乾燥機のないまま3週間生活する羽目になったのです。いったいどうやってこれらの家電のないまま3週間も生活したのか。さすがに冷蔵庫がないのは困るので、小さい冷蔵庫(ホテルのミニバーについてくるようなやつ)を購入して、それを使っていました。家族4人でミニバーサイズの冷蔵庫はさすがに辛いので、野菜などは玄関の外に出して天然の冷蔵庫。それでも冷蔵庫はミルク、たまご、それにちょっとしたお肉などを入れたらもういっぱいいっぱいでした。そして、洗濯。幸い前に借りていた家の契約が11月いっぱい残っていたので、借家に洗濯をしに通いました。そうはいっても、そんなに頻繁にも行っていられないのと、ノルウェーの洗濯機・乾燥機はやたらに時間がかかるので(洗濯に2時間半、乾燥に4時間なんてことも!アメリカの倍以上の時間がかかる!)、2,3日に一回洗濯するのがやっとでした。

その反面、新居に入れた家電は高級品とはいわないまでもそれなりに良いものを選びました。まず、レンジトップ(って言うのでしょうか。おなべを火にかけるところです)。日本の方には今さら、思われるかもしれませんが、我が家もやっとインダクションを導入しました(日本で言うIH)。これがまた、素晴らしい!お湯もあっという間に沸くし、掃除も超簡単。また、オーブンと一体型でなおかつキッチンのカウンタートップと一緒になっているので、変な隙間などがなく、掃除も楽です。食器洗い機はそんなに変わりませんが、一体型なのであまり外から目立たないのと、静かなのがグー。レンジも一体型のものを選択して棚に収まっているので、背が低い私にはすこし大変ですが、それでもレンジにカウンタースペースをさく必要がないので、狭いキッチンにはありがたいです。

奥にあるのがインダクションのレンジトップ。その下についているのがオーブン。カウンタートップと一体になっているのが分かるでしょうか。上についているのがオーブンレンジ。


2012/11/25

期末テストは重労働

またしてもご無沙汰しております。毎日なにかと忙しく、なかなかブログに向かう時間もエネルギーもない日々が続いているところです。何かというと、今ちょうど期末テストの時期なのです。ノルウェーの大学は基本的に期末試験で成績が決まります。アメリカの大学では中間や期末試験に加えて、出席や宿題も成績にカウントされることが多かったので、そういう意味で、リスクがばらけていた分少し気が楽だった気がしますが、ノルウェーの学生は、学期中どんなにがんばっていても、期末試験がダメだったら成績はダメなので、鬼気迫るものがあります。また、今までだらけていてちゃんと宿題などとやってこなかった生徒は、今必死に追いついているところで、そういった理由で私のオフィスには質問にくる学生が急に増え、質問のメールも毎日送られてきます。

アメリカから引っ越してきた頃は、アメリカ式に成績が中間・期末・宿題、といろいろな要素から決まるシステムにしようと思ったのですが、ノルウェー人の同僚に「それはやめたほうがいい」と忠告を受けました。なぜかというと、ノルウェーでは、学生は成績がつけられたもの(テストであれ、宿題であれ)に対して異議を申し立てる権利があるのです。それも、アメリカ式に、先生に直接「どうしてこの宿題の成績ははBなんですか?」と直接聞くのではなく、「意義申立書」とでもいいましょうか、そういう書類を大学に提出するのです。その書類が提出されると、成績をつけた職員のもとに、なぜそういう成績になったのか説明を求める書類が届きます。それに対して、職員は成績の説明を提示し、また大学に提出します。それに対して学生が納得すればそれで終わりですが、そこで納得のいかない学生は、さらに異議を申し立てることができます。その場合、職員は学部の内部・外部から一人づつ審判(?)を指名し、成績が公正であったかどうかの判断が下されます。

ものすごく面倒くさいシステムですが、これは学生の権利とされているので、そう簡単に廃止するわけにもいかないのでしょうか。私も何度か期末テストの成績ででこれらの異議申し立てを受けたことがあります。いまのところ、私のつけた成績が覆されたというケースはありませんが、これを宿題を出す度にやっていては仕事になりません。そういうわけで、クラスでは宿題を出しますが、提出は義務付けていませんし、添削もしません。そのかわり、詳しい解答を配布します。このシステムだと、やる気のある生徒は自分で勉強できますが、あまりやる気がなかったり、仕事を持っていて忙しい学生などは、結局最後の最後まで勉強しない、ということになってしまいます。もっと中間テストなどを入れて、半ばでチェックが入るようにしようにも、面倒くさいシステム上そういうわけにはいかないのです。

2012/10/29

ノルウェーのためなら

昨日テレビをつけたら、たまたまやっていたのが「Alt for Norge」という番組。直訳すると All for Norway。これは、ノルウェーのリアリティー番組で、10人ほどのアメリカ系ノルウェー人をノルウェーに招待し、毎週いろいろ競争させ(毎週ひとりアメリカに帰されることになっています)、最後に勝ち残った人がノルウェーの親戚に対面できる、という番組。この番組の趣向は、ノルウェー系アメリカ人というコンセプトを理解して初めて納得いくものです。ノルウェーは石油が発見されるまでは歴史を通してとても貧しい国だったそうで、よりよい暮らしを求めて沢山のノルウェー人が外国に渡りました。どのくらい沢山かというと、現在ではノルウェーに住むノルウェー人よりノルウェー以外の国に住むノルウェー系の人たちの方が数が多い、というくらい沢山です。その中でも沢山の人がアメリカに向かいました。私が住んでいたシアトルやカリフォルニアにもノルウェー系の人たちのコミュニティーがあったり、スカンジナビア系の食料品店があったりしましたが、特にノルウェー系の人が多くて有名なのはミネソタでしょうか。せっかくアメリカに渡ったのだから、もっと暖かくて気候の良いところに定住すればいいのに、なぜわざわざミネソタに?と私などは思ってしまうのですが、ミネソタの気候がより祖国に近かったからでしょうか(ミネソタの冬は寒くて有名です)。

さて、これらのノルウェー系アメリカ人たちは、人にもよるでしょうが、ノルウェーに対してとてもノスタルジックな感情を抱いていて、一度はノルウェーを訪れてみたい、と思っているようです。これはきっと、どの移民にも共通していることでしょうが、この感情は私のような移民第一世代の者には完全には推し量れないのではないかと思います。私は日本で生まれ育ち、日本についての直接的な知識も経験もあり、また、ちょくちょく日本に帰っています。もちろん日本を懐かしく思ったりしますが、それは第二世代以降が感じるであろう感情とは違うと思います。第二世代以降にとって祖国は大部分、直接の体験よりも又聞きの間接的な情報によるわけです。自分のルーツがそのような間接的な情報によってなっている、という状態は一体どういうものなのでしょうか。だいたい、日本にいる日本人は「自分のルーツ」なるものに対してわりと無頓着であるように思いますが、移民で構成されているアメリカ人にとって、自分のルーツや家族の歴史というものは、特別な意味を持つようです。そしてそれは、アメリカ系のノルウェー人にもいえることです。

2012/10/11

「ムラカミ」のちから

日本で「ノルウェーに住んでいます」と言うと、「ノルウェーってどこでしたっけ?」とか、「ああ、ボルボ(もしくはノキア)で有名ですよね」などの返答が返ってきて、「ノルウェーは北欧です」とか「それはスウェーデン(もしくはフィンランド)です」とか答える度に、ノルウェーは日本人には知られていないなあ、という事実を確認します。では、その反対はどうか、というと、ノルウェー人も、日本のことをそんなによくは知らないのです。タイくらいまでなら、バケーションで行ったり、近所にタイ人が住んでいたりして知っているようですが、その先の東アジアとなると、まだまだ未知の領域であるようです。

そんなノルウェー人にとって、日本と言ってまず思い浮かぶのはおそらくトヨタやソニーなどの日本の有名メーカではないでしょうか。日本車はノルウェーでも人気ですし、日本の会社の電気製品もよく見かけます。また、この頃スタヴァンゲルでもやっと寿司が定着しつつあり、普通のスーパーでもパックのお寿司が並び(美味しくないけど)、寿司用のネタ(といってもサーモンのみ)や、わさび、甘酢漬けのしょうがなどを見かけるようになりました。

しかし、ソニーや寿司以外に、「日本」と言ってノルウェー人の心に浮かぶようになったもの、それは「ムラカミ」。もちろん作家の村上春樹さんのことです。私が「日本人です」と言うと、「僕はムラカミが大好きなんだ」とか、「私はムラカミのファンなの」と言ってくる人がたくさんいます。私もファンなので、それでムラカミの話で盛り上がったりするわけですが、彼らは私より熱心にムラカミの本を読んでいたりします。ムラカミ好きがきっかけで日本に行った、留学した、という話もきくほどです。同僚の友人のノルウェー人女性は、日本に行ったばかりでなく、その体験をもとに小説を書いて本まで出しちゃったそうです。

2012/10/04

イタリア職員旅行で不便と迷惑について考える

先週の土曜日から3泊4日で職員旅行に行って来ました。行き先は北イタリアのコモ湖。世界が不況で大変なのにこんな優雅な職員旅行をしていていいのか、とも少し思いますが、一応セミナーなども盛り込まれて「仕事兼」の様相を(辛うじて)呈しているのと、今学期クラスをふたつ教えているため、普段のランチに参加できず、今学部でいったい何が起こっているのか、情報がなかなか入ってこないので、アップデートの意味も込めて参加してきました。学部の職員は、教授陣だけでなく博士課程の学生や事務の人も含めて、基本的に全員参加です。しかし、もちろんウチは同じ職場で共働きのため二人一緒に参加するわけにはいきません。誰かが子供の面倒をみなければいけません。夫の両親も仕事があるので、任せていくわけにもいきません。去年の職員旅行は私が参加してアイスランドに行ってきたのですが、今回はなにしろイタリア。是非行きたい!でも、これはさすがに交渉が必要か、と思っていたら、夫はあっさり「君行ってきていいよ」とのことなので、好意は素直に受け取ることにして、いざイタリアへ!

朝6時のフライトだったので、朝は3時半起き。眠い目をこすりながら5時前に空港に到着してびっくりしたのは、2週間前に女の子を出産したばかりの同僚(博士課程の学生ですが)の姿が!彼女はイタリア旅行をとても楽しみにしていながら、出産と重なる時期のため、泣く泣く参加を諦めた、と思っていたのですが、なんと強行参加のようです。ベビービョルンに赤ちゃんを収めて、もちろんノルウェー仕様のベビーカーも持参です。

コモ湖のクルーズもベビーカーで乗り込みます。
手前に見えるのがノルウェー仕様のベビーカー。


日本では授乳は人から見えないところでするのがエチケットのようですが、ノルウェーでは街中だろうと、どこだろうと授乳OKです。また、日本だと、外で授乳する場合、布のようなもので赤ちゃんごと胸全体を覆って行うのを何度も見かけましたが、ノルウェーではそもそも「隠す」という感覚があまりないようです。だからといっておおっぴらに胸を出して授乳するわけではありませんが、みんな上手にさりげなく授乳していて、ちょっと見たくらいでは授乳しているとは分かりません。同僚の彼女は、これでもう三人目の子供。授乳も手馴れたもので、学部のみんなとレストランでディナーなど食べているテーブルで、「あら、この子お腹すいてるみたい」と、さらっと授乳。

2012/09/22

食器洗浄機 対 メイド

先日プラハの学会で、久しぶりに元同僚のノルウェー人男性に会いました。彼は私たちがスタヴァンゲルに引っ越した時はまだ同じ大学で働いていたのですが、3年ほど前に南米、ペルーの大学に移ったのです。彼の奥さんはペルー人で、彼らは当時2歳の息子さんともどもスタヴァンゲルで暮らしていたのですが、どうやら奥さんがノルウェーでの生活に耐えられなくなったようです。それで、奥さんの実家の近くの大学に職を見つけてそちらに移ったのです。

私は奥さんに直接会ったことがないので、詳しい事情はよくわからないのですが、その同僚はスタヴァンゲル出身。地元嗜好が強いスタヴァンゲル人の彼が遠い南米に移るほどとは、それなりに切迫した状態であったのではないかと想像します。周りの人から色々事情をきくと、奥さんがスタヴァンゲル、ひいてはノルウェーに馴染めなかった理由のひとつは、メイドやナニーが雇えなかったことにもあったようです。どうやら南米ではメイドやナニーを雇うのはわりと一般的であるようで、専業主婦であっても外で働いていても、家庭における女性の役割のひとつは、それらの使用人のマネージメントであるようです。そのような環境で育った彼女は、掃除も洗濯も食事の支度も子供の世話も自分ひとりでしなければならない生活(旦那さんはフルタイムで働いているので、それらは一応は専業主婦であった奥さんの担当であったようです)に馴染めなかったようです。

そういえば、私のママ友でメキシコ人の女性は両親ともにお医者さんだったそうですが、家には何人も使用人がたそうです。彼女は娘さんがふたりいるのですが、ふたりともメキシコで生みました。私は勝手な想像でノルウェーの方が病院などの環境がいいのではないかと想像していたので、彼女がメキシコに戻って出産するときいてびっくりしたのですが、理由のひとつには、メキシコに戻ればお母様がいるのに加えて、当然ナニーも雇うわけで、そうした全面的なバックアップがあることもあって、少なくともはじめの数ヶ月はメキシコに滞在していたようです。彼女はメキシコに戻って暮らすことは考えていないようですが、家事はノルウェー人の旦那さんのほうがメインな感じです。

2012/09/11

出張と罪悪感

出張が重なった話は前回しましたが、出張は行ってる時も大変ですが、行く前と帰ってきてからもけっこう大変です。なぜかといえば、私が出張中はもちろん夫が子供の面倒をみるわけで、朝ごはんとお弁当はもともと夫の担当とはいえ、そこに加えて上の娘の宿題をみてあげたり、体操着や図書館の本など、娘の学校にその日に持って行くものを揃えたり、バレエのクラスの送り迎えをしたりと、やることはたくさんあります。そして、それを一人で全部カバーするのはやはり大変です。なので、私がいない間の夫の負担が軽くなるように、私もできるたけの支度をしていきます。娘が学校に持っていくものを揃えておいたり、お弁当やスナックに持っていく食べ物を買い置きしておいたり、子供のスケジュールを書いたメモを置いておいたり、掃除や洗濯もできる限り終わらせておきます。ただでさえ、発表の準備やその他の締め切りに追われているところに、さらにそれらの家事・子供関連のことを一通り終わらせなければならないので、出張前は本当に目の回る忙しさです。

プラハでの学会は同じ大学の同僚や、他の大学から知っている研究者も参加していました。私は全ての準備を終えて夕方の飛行機でプラハに向かったので、ホテルに着いたのはもう真夜中過ぎでしたが、そこで夜遅くまで飲んでいた彼らに遭遇したのです。わたしもお酒など飲みながら、「出張に来ると、やはり夫に対して罪悪感を感じてしまうので、彼の負担が軽くなるようにできるだけの支度をしてから来たために到着するのがこんな時間になってしまった」という旨を伝えると、ノルウェー人やデンマーク人の彼らに「そこで罪悪感を感じるあたりが、君はまだ日本人だね」などど言われてしまいました。そうなの!?あなたたち罪悪感ないの!?その場にいたのはほとんどが男性だったのですが、そこにいた女性同僚(博士課程の学生ですが、私より年上で、子供もふたりいます)は、「え、別に洗濯とかなんて、してこなかったけど。」とのこと。罪悪感を感じるとしたら、それは家を空けて寂しい思いをさせてしまっている、ということに対してであって、家事や子供の面倒をかぶってもらうことに対してではないようです。

2012/09/10

論文発表は年の功

先日ベルゲンでの出張から帰ってきて、私の忙しかった夏もようやく終わった感じです。この夏は本当に出かけてばかりでした。日本に帰ったのももちろんですが、そこからノルウェーに戻ってきてすぐにバルセロナに出張、そのあとまた数日あけてトルコにバケーション、そしてその後すぐまたシアトルに出張、そして先日のプラハとベルゲン。いくら旅行好きの私とはいえ、さすがに疲れました。

出張は、おもに論文や研究結果を学会や会議で発表するのですが、もちろんそこで発表する分析をして、発表用のプレゼンテーションを準備しなければいけません。また、分析や発表は誰を相手に喋るかによってももちろん違います。学者が相手の発表とビジネス人向けの発表では、やはり内容がまったく違います。学者向けは、論理や分析の手法、結果の統計的有意性などが中心になりますが、ビジネス向けだと、より現実問題に即した結果を、できるだけわかりやすく説明することになります。もちろん、発表するとなれば、できる限りクオリティーの高いものにしたいと思うのは当然で、そうすると、ひとつの発表を用意するのに、やはりそれなりの労力が必要となります。

そうやって忙しく発表の準備に追われているとき、ふと「思えば遠くに来たものだ」と思ったのは、まだ大学院生の頃に学会で発表したときと今を比ると、ものすごい差があると思ったからです。あえて、成長といえるかもしれません。昔に比べて、私のプレゼン能力は格段に上達したと思います。単に学生時代がひどかったため、比較すれば今が上、ともいえるかもしれませんが。とにかく、プレゼンの「プ」の字もよく分かっていなかったと思います。

2012/08/29

新居完成間近・・・かな?

なぜ忙しいときにかぎって、さらにやることが増えていくのでしょうか。「お金は淋しがりだから、よりお金のあるところに集まるようになっている」とは、昔友達が言った言葉で、言いえて妙、と心から納得したものですが、忙しさというのも、なんだか忙しさを生むように思います。そういえば、お店やカフェなどでも、お客さんはまとめてがばっと来たかと思うと、急に誰も来なかったりして。物事には波というものがあるのでしょうか。なんて、そんなことを考えてしまうのは、最近妙に忙しいからです。日本ももうすぐ新学期ですが、こちらではもう8月の半ばから新学期が始まっています。私はこの学期クラスをふたつ教えているので、ほぼ毎日、日によっては二つ、授業があります。ひとコマ2時間で教えているので、授業がふたつある日などは、それだけでもうぐったり。それに加えて来週プラハでの学会、さらにそこから直行でベルゲンへ行って別の会議、と立て続けに発表があり、それらの発表の準備にも追われています。そしてさらに、新学期ということで、子供たちの習い事の新しいスケジュール、プレイデート、毎週末のようにやって来るお誕生会、と、子供関連でやることも盛りだくさん。ただでさえ毎日やることがいっぱいなのに、そこにさらにダメ押しが新居。去年から建てている新居が、とうとう完成間近なようです。

新居完成は嬉しい反面、このクソ忙しいときに引越しのことなど、考えただけで頭がクラクラしてきます。しかし、引越し以前に、まだまだやらなければいけないことが沢山!私も夫も、見たくない物には目をつむる習性で、今までそれらの事を先送りにしてきたのですが、もうそんなことを言っていられないほどに新居の建設は進んだようです。先日新居の照明やバスルームの業者に会ってきたのもそのためです。また、家の中ばかりでなく、外もどうするのか考えなければいけません。しかし、ちょっと何かするだけで目玉の飛び出るような価格を払わなければならないノルウェー。ガレージの前を舗装するだけでも随分な出費です。また、家の裏庭にパティオを付けてもらったので、そちらも結構な出費。この調子で、新居への出費はじりじりと上がっていきます。しかし、自分たちでやる、などというスキルは持ち合わせていないので、人を雇ってやってもらうしか道はありません。

2012/08/21

祝 ノルウェー語テスト合格!

ノルウェー語のテストに無事合格いたしました。

やったー!素直に嬉しい!そしてほっとした!前にも書きましたが、テストを受けた後の感覚としては、たぶん大丈夫と思うけど、落ちる可能性は少なくはない、というものでした。特にリスニングはちょっと(かなり)危ういと思っていたので、合格ときいて、とっても安心した反面、私程度のレベルでも合格できるとは、採点がめちゃめちゃ甘いに違いない、とも思ってしまいました。

自分で言うのも何ですが、私のノルウェー語は、日常会話にも困るほどのかなりの低レベル。会話の出だしは好調ですが、そのまま5分も会話が続かない!それは、ノルウェー語だとあまりに効率が悪いために、5分も経つ頃には会話も英語に変わってしまっているから。これでは上達なんてするわけない、と思っていた矢先、とあるお店で、そのお店の店員さんとノルウェー語の会話が随分続いたことがありました。なぜそんなにノルウェー語の会話が続いたかといえば、ひとえに店員さんが英語を喋るのを拒否したためです。

そのお店に行ったのは、今建てている家の照明を選ばないといけなかったからです。すでに契約によってそのお店で購入しないといけないことになっており、向こうも家の間取りなども承知なので、部屋ごとに、ここはこんな感じがいいんじゃないかしら、とか色々アドバイスをくれて大助かりなのですが、彼女は「私、あまり英語が上手じゃないから」と、私のノルウェー語レベルとは無関係にとにかくノルウェー語を通します。私もありったけのノルウェー語で応対。身振り手振りも交えての私たちの会話は周りから見たらちょっと滑稽だったかもしれませんが、こっちも必死です。なにしろ、新居の照明がかかっているのです。

2012/08/07

トルコでバケーション

バケーションでトルコに行って来ました。またしても滞在型のキッズフレンドリーなホテルですが、今回は初めて2週間の滞在、いつもの倍の長さです。1週間だと、いつも最後の方で、もう終わっちゃうから今のうちに泳いでおかなくちゃ、などと少々ストレスが溜まるので、今回ちょっと長めに取ってみることにしました。とはいっても、2週間という滞在期間はごく普通で、ホテルだと、みんなだいたい1~2週間滞在するようです。もっと長期で滞在する人は、よりアパートっぽい物件を選ぶ場合も多いようで、実際、夫の妹一家は今フロリダのプールつき借家に1ヶ月滞在しています。

長さもさることながら、トルコというのも今回初めてです。今までクレタとスペインだったので、ちょっと変えてみようか、ということになりました。北欧人のバケーションの目的地としてはとてもポピュラーです。また、スペインよりちょっとお値段も手ごろなようです。

私たちが今回訪れたのは、シデという、トルコ有数のリゾート地です。アレクサンダー大王にも占領されたという古い街。古代遺跡も残っていて、特に2万人以上収容したという円形劇場や浴場跡、神殿跡など色々残っていて、もちろん入って見ることもできます。私たちが泊まったホテルは、そのシデの市街地から車で5分ほどの所にあるリゾートホテルです。ホテルは居心地よく、食べ物もわりと美味しいし、特に不満はなかったのですが、なんとトルコでも異常気象という猛暑にあたってしまいました。毎日暑い!それも、45度とか47度とかのレベルの暑さです。これでは、どんなに素敵な遺跡があっても、昼間見に行こうという気にはなれず、結局毎日ホテルのプールに入ったり、ホテルの子供の遊び場に行ったりするのみで、シデの街にも2回ほど行っただけです(それも夕方から)。それでも、シデの遺跡は迫力あり、ちょっとした博物館もあって、古代の人々の暮らしに思いを馳せることができました。特に、私は今塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読んでいて、ちょっと歴女な気分だったので、遺跡をよりいっそう堪能できました。でも、この暑さでは、カッパドキアに行くなどは到底無理でしたが。

劇場の通路

劇場と、その向こうにはアポロンを祭った神殿。
劇場ではグラディエーターも戦ったそうです。
浴場跡の遺跡にはちょっとしたミュージアムもありました。
市街地はお土産屋さんでいっぱい。

2012/07/29

日本の小学生とノルウェー交流

娘がこの度日本でお世話になっていた小学校は、私の母校でもあります。ん十年前に私が通っていた頃と比べると、校舎が新しくなり(中越地震の後建て直されたようです)、また、子供の数が減りました。第二次ベビーブームだった私の世代の頃は全校で1600人いたものですが、今では900人ほどになったようです。とはいえ、卒業してから訪ねることもなかった小学校に娘が3週間お世話になることになり、急にまた母校と関わりを持つこととなりました。そして、「国際理解教育」の一環として、私から小学校の子供たちにノルウェーについて話をすることになりました。

これは、実は私の方から学校に持ちかけたものです。娘は学校に通うことで日本という国や文化を吸収できますが、日本の子供たちにとっては、娘の日本語能力という問題もあり、ちょっと中途半端な交流になってしまうのではないかと思ったのもありますが、子供たちにとって、娘という媒体を通して他の国について学ぶ絶好のチャンスだと思ったからです。私の実家は田舎にあるので、大きい都市と比べると、どうしてもナマで外国に接触する機会というのは限られます。私は結果的に外国に行く、という道を選んだわけですが、なぜそうなったのか、今考えても不思議なほど、私は育っていく過程で外国との接点というものはありませんでした。大学留学するに至って初めてパスポートを取ったほどです。なので、小学生の時点で小さくても外国との接点を持つのはいいことなのではないかと思ったのです。

別に全員留学してほしい、と思っているわけではありませんが、外からの視点を持つ、というのはとても大切だと思うのです。これは、日本という国でもそうですし、個人としても同じことです。常に第三者的視線で物事を見る、というのはとても重要です。そして、外国について知るということは、この目線を培う上での有効なトレーニングとなりますし、もちろん外国に行ったり、外国人と接したりする上でも必要となります。「国際理解 イコール 英語」みたいな図式があるような気もしますが、英語はあくまでも道具であって、目的ではありません。英語が話せる、外国についての知識がある、というのは枝葉の部分であり、いちばん根っこにあるのは、柔軟な視点や考え方を持てるか、といったところにあるように思います。

2012/07/16

子供と飛行機

子持ちで海外在住の日本人の方は、この時期頭が痛いのが日本への帰国ではないでしょうか。いえ、帰国が頭が痛いのではなく、子供を連れての帰国が。なにって、飛行機ですよね。長~い時間子供を連れて飛行機に乗っているのは本当に苦痛です。一人の頃は、飛行機の時間が長いからと、音楽や本をいろいろ用意して準備万端で搭乗したものでした。ずっと座っていて疲れるし、帰国は大変、などど思っていたわけですが、子供を持ってみると、一人で飛行機に乗っていた頃はまるで公園を散歩していたようなものであった、としみじみ思います。反対に、子供を連れて飛行機の苦労を味わった今では、一人でならどこへでも平気。ちょっとくらい長いフライトだって、ちょろいもんです。

うちは、子供ふたりを私がひとりで日本に連れて帰ります。夫はノルウェーに残って仕事です。スタヴァンゲルからはさすがに直行便は出ていないので、いつもコペンハーゲン経由で成田へ向かいます。これも、他の大きい空港(アムステルダムとか、ロンドンのヒースローとか)よりもコペンハーゲンの方がこじんまりしていて、子供を連れての乗り継ぎが幾分ラクである、という配慮からです。

さて、飛行機の中で子供を退屈させないために、私はありとあらゆる物を持参します。今回持っていったのは、と申しますと、

1.子供用のゲームのアプリ満載のアイパッド
2.DVDプレイヤー2台と映画のDVDいろいろ
3.シールブック
4.お絵かきブック
5.新しいペンのセット2つ
6.本2冊
7.カードゲーム
8.任天堂DS2台
8.おやつ

と、こういった物をキャリーオンのスーツケースや子供のリュックに詰め込んでいきます。キャリーオンには、さらに私の仕事用のラップトップも入るので、もういっぱいです。しかも、セキュリティーチェックの度にラップトップやDVDプレイヤーなどをいちいち出して、別個に箱に入れてチェックを通さないといけないので大変です。さらに、ここに、搭乗直前に買う水やおやつなどが加わって、私はあちこちに荷物をぶら下げて飛行機に乗ることになります。

2012/07/03

日本人は情報ジャンキー?

日本にいると、健康関係の情報にとても敏感になります。新聞でも、雑誌でも、テレビでも、スーパーに買い物に行っても、いつでもどこでも、「血液サラサラ」とか、「お肌にいい」とか、「高血圧にきく」とか、そんなフレーズがいたるとこるにあります。もちろん、アメリカ人だって、ノルウェー人だって、健康であることは大切ですし、エクササイズしたり、食べるものに気を使ったりしますが、それは日本人の比ではありません。日本人の「健康」や「美容」への取り組みは、もう、それが趣味の健康オタク、という感じです。そして、さらに凄い、と思うのは、それが全国津々浦々に年代を超えて情報がまんべんなく行き渡り、別に綺麗でいるのが職業の人たち(モデルさんや女優さんなど)でなくとも、一般人の健康の知識レベルがやたら高いことです。

また、日本人は「美味しいものが食べたい!」という欲求が高く、テレビをつければ必ずなにかグルメ番組とか、どこそこの美味しい何々を食べに行く、とか、今旬の何々を食べに行く、とか、どこのレストランが美味しい、とか、行列のできる何々屋、とか、食に関する情報もあふれています。

私はシーフードマーケットの研究もしているので、ノルウェーのNorwegian Seafood Council (NSC,ノルウェー水産物審議会)とも一緒に仕事をします。今はNSCとも連携してヨーロッパのシーフード市場についての消費者アンケートをとっているのですが、そのアンケート用紙を作っているとき、私が「シーフードは大切な蛋白源でしょ」みたいなことを言ったら、同僚のひとりが「そんな風に、これはたんぱく質、これはビタミン、みたいに考えて食品買ってる人なんていないよ」と言うのです。私はびっくりして、「え、しないの!?」と答えると、NSCから来ていた人が、「日本のマーケットは、消費者の食に関する関心も知識も高くて、嗜好も洗練されていて、世界のどのマーケットとも別物!」と言っていました。納得。

2012/06/28

日本の小学校--ノルウェーとの違いは?

娘たちが日本の幼稚園と小学校に入ってもう2週間。3週間の期間中、もし毎日泣きながら通うようなら、学校に行かないでもいいか、と思っていたのですが、二人ともすっかり慣れて、毎日笑顔で通っています。幼稚園は、日本のノルウェーも、そんなに変わらないように思いますが、小学校となると、やはりもっと違いが出てくるようです。私が感じた日本とノルウェーの小学校の違いは・・・

「さん」で呼ぶ
今小学生は「さん」で呼ぶように指導されているようです。「くん」「ちゃん」では男女平等ではないので、一律「さん」で呼ぶのだそうです。実際娘の担任の若い先生は、働き初めの頃「くん」「ちゃん」で呼んでいたのを、教頭先生などに「今は男女平等に、さん、で呼ぶ、ということに全国的に指導されているので気をつけるように」と注意を受けたそう。ノルウェーはもちろん名前を呼び捨てですから、これは日本独自の点ですが、女の子はともかく、小学一年生の男の子を「さん」で呼ぶのはちょっと違和感がありますが・・・。先生は、授業中など「太郎君、これどう思う?」ではなく、「太郎さん」。みんなで一緒に遊ぶときも、「じゃあ、たかしさんが鬼ね。」うーん、男女平等はけっこうですが、「さん」で呼んだからって、男女平等の意識が芽生えるとも思えませんが。そういう研究結果でもあるのでしょうか。子供たちも、授業のとき意外は「ちゃん」「くん」で呼んでいるようで、やはりその方が自然なようです。保育園で働くイトコにその話をすると、「小学校で「さん」付けだから、今は幼稚園や保育園でも、慣れやすいように「さん」で呼ぶところもあるよ」とのこと。「ちゃん」や「くん」という呼び方はいずれ無くなってしまうのかもしれません。

歯磨き
日本は歯磨き指導が厳しい!幼稚園でも随分力を入れていて、先日も幼稚園に歯磨き指導の講習に行ってきたばかりです。コップと歯ブラシは毎日持参して、お昼のあとにしゃかしゃか。これば幼稚園で終わりかと思ったら、小学校でも、給食の後に毎日歌に合わせて歯磨きするそうです。私が小学生のときは学校で歯磨きした覚えはないので、もっと最近始まったののでしょうか。ノルウェーでは学校で歯磨きなどきいたことありません。それどころか、外から帰ってきたら手洗い、うがい、というのすら、ずいぶんざっくばらん、というか、あまり気にしてないように思います。さすがに、トイレの後は手洗い、というのはちゃんとやっていますが・・・。日本は公衆衛生にもっと敏感だと思います。飛行機の中でもみんなマスクしてるし(関係ないですか?)ちなみに、ノルウェーは、成人するまで、歯医者はタダですが、大人になると保険がきかず、全額負担になります。一度の診察で万単位の治療費がかかるようです。歯の治療に外国まで行くの稀ではありません。飛行機代を払ってもその方が安い、なんて。他の医療は国の補助を受けているのに、なぜ歯科は駄目なのか。謎です。

通学
日本もノルウェーも基本は歩いて通学だと思いますが、私の実家は校区のほぼ境目にあるので、歩いて30分ほどかかります。さすがに日本語も不自由で日本の交通ルールにも慣れていない娘を一人で30分も歩かせるのは心配なので、車で送り迎えしていますが、驚いたのは、お迎えの子供がけっこうたくさんいることです。私が子供の頃は、歩いて帰るのが当たり前で、雨が降ろうと吹雪だろうと、送り迎えしてもらっている子はいなかったのに。また、持ち帰る荷物が多いと、「車で迎えに来てください」という連絡が学校からくるそうです。私たちは朝顔やベゴニアの鉢やらなんだら、重たくても30分の道のりを歩いたものですが。ちなみに、ノルウェーでも、今は送り迎えしてもらっている子供が増えているそうです。時代が変わったのですね。

2012/06/23

日本て効率いいの、悪いの!?

日本に戻る度に思うのは、日本という国の効率の良さと悪さです。やたらに効率よく物事が運んでいるところもあると思いきや、えっ、というところで信じられないほど効率が悪いことがあったりして。

例えば先日、日本の運転免許の更新に行ってきました。更新、といっても、実はもう失効していて、再発行してもらいに行ったのですが(しかも、これで二度目)。免許センターに入ると、入口にスタッフが待っていて、目的に応じて来訪者を次々と正しい窓口に振り分けていきます。私が失効した免許書の再発行の旨を告げると、「ハイ、じゃあこの用紙に記入して、その後そこで写真を撮りますね。」用紙を記入し終えた頃にはもう写真の係りの人が待ち構えていて、「では、そこに座ってレンズを見てね、ハイ、撮れました。では、この写真を持って4番の窓口ね。」4番の窓口が終わると、「では、床の赤い矢印に沿って5番の窓口へどうぞ。」5番で必要な書類を提出すると、「では、5歩くらい右に行った窓口で証紙を購入したら、またここに戻ってきてください。」その後視力検査や、その他の手続きも万事この調子。その後2時間の講習を受けに行くと、私が最後の入室者ようです(初めて免許を更新する人用の講習なので、私の他は20代前半の若者ばかりです)。そして、待ち構えたように講習が始まり、終わったのも予告通りの3時40分。前回失効して再発行してもらいに行ったときも、同じように3時40分に終わったのを覚えています。まるで、ベルトコンベアの生産ラインみたいに、スムーズに進みます。ノルウェー(効率悪い、でも、更新は必要なし)やアメリカ(待ち時間ものすごく長い)とは大違いです。

また、90になるうちの祖母はほぼ毎日デイケアサービスに行っているのですが、足が悪く、下半身はほとんど動けません。そうるすと、デイケアサービスの人が毎日車で迎えに来てくれるわけですが、朝、とても爽やかな「おはようございまーす」の掛け声とともに、ささっ、と家に車椅子を持って上がってきて、ささっ、と祖母をベッドから車椅子に乗せ(祖母は体格はいいので、けっこう重たいです)、「では、いってまいりまーす。」の掛け声とともに、玄関の段差などなんのその、という素早さで、ささっ、と祖母に靴を履かせ、自分たちもささっ、と靴を履いて、爽やかな風とともに去ってゆきます。その一連の動作に無駄はなく、経験のない人がやるとものすごく大変で時間もかかることを、とても機敏に、素早くやってしまいます。す、すごい!こんな爽やかで機敏な光景はノルウェーでは見たことありません。

2012/06/21

日本の小学校に体験入学!

日本滞在中、上の娘は地元の小学校に入学させてもらえることになり、私も遅ればせながら、子ともが小学校に入学する親の気持ちを味わっています。もちろん、娘はノルウェーでは小学校に通っていますし、学期が始まるのが早い分、実はもう一年生を終えて、この8月からは2年生になるところですが、なにしろ言葉もよくわからない日本の小学校に通うわけですから、こちらも緊張します。

娘が小学校に通い始めて3日。いったいどんな反応を示すのか、学校に行くのが苦痛で泣き叫んだり、体調が悪くなったりしないか心配でしたが、今日などは、学校まで送りに行って、教室まで送って~、と言ってごねたくらいで、実際教室まで送って行ったら、笑顔でバイバ~イ、さっさと自分のロッカーにかばんを入れに行き、私が物陰で様子を見ているのに気付くと、手で早く行ってよ、のジェスチャー。逞しい。

そうは言っても、初日はさすがにめそめそしてばかりでした。私も一緒に行ったのですが、私がちょっと離れると泣き出し、私が先生と話をしている間、授業を一時間だけ一人で受ける予定だったのですが、心細いようで、結局私についてきて先生の話を一緒に聞き、最後に一時間だけ算数の授業を一緒に受けてきました。算数自体はノルウェーで通っている学校でもやっているので大丈夫ですが、先生のおっしやることや、問題の内容が分からなければ、解きようがありません。また、プリントなどには名前を書くわけですが、ひらがなもそんなに上手ではないので、名前を書く時点ですでにつまづいてしまいます。

一日めそめそしていたので目が赤くなっていましたが、それでも、帰るころには、楽しかったから、また明日も行ってもいい、と言っていました。子供たちがとても歓迎してくれて、嬉しかったようです。帰ってからさっそくひらがなの練習も始めました。みんなが上手にひらがなを書いているのに刺激されたようです。

2012/06/19

締め切り、締め切り, 締め切り

ここのところ、投稿が滞ってしまいました。帰国準備に加えて、いろいろと締め切りが重なって忙しい毎日を送っていたためです。なぜそんなに締め切りがたてこんでいるかというと、夏は私たちにとって学会の季節だからです。といっても、学会はもちろん年間を通してあるわけですが、やはり夏に多いのは、夏は基本的に授業がなく、学校もないので、まとまって旅行しやすいためでしょうか。
学会に家族連れで来る人たちもたくさんいます。仕事もこなしながら、家族のバケーションもとれて、一石二鳥です。

学会には論文を前もって送って、審査に通った場合のみ発表できるのが普通です。ただ、この時点で、完成した論文を送る場合もありますが、2ページほどの概要を送ればよい学会もよくあり、その気軽さで私は概要をを3本送ってありました。これも、全部の審査に通るとは限らないため、少し多めに送ったわけですが、これがなんと、3本全部通ってしまい、嬉しい悲鳴(?)をあげながら論文を3本書く羽目になった次第です。共著の同僚からは、お前は書き終わった論文以外は学会に応募禁止、と禁止令まで出される始末。

それ以外にもいろいろやることがある中、なんとか1本書き上げたのですが、次のがなかなか終わらず、帰国当日まで仕事をした後、二日間の東京滞在中も、昼に観光して夜に論文を執筆というハードスケジュールとなってしまいました。スカイツリーの見える夜景を背に、時差でなかなか寝てくれない子供がやっと寝た後、午前2時、3時まで仕事、そして翌朝普通に起きて観光・・・つらい。でもなんとか2本目の論文も締め切り当日に出し終え、ほっと一息。でもまだ3本目の論文は始めてもいませんが。

2012/06/10

スタヴァンゲル新コンサートホール

スタヴァンゲルに9月に新しくオープンするコンサートホールのサウンドチェックも兼ねた非公開のコンサートに行ってきました!なぜそんな機会に恵まれたかというと、スタヴァンゲルシンフォニーでヴァイオリンを弾く菜穂さんという方が招待して下さったからです。私は彼女とは面識はなかったのですが、日本人コミュニティーに宛てたメールでコンサートのことを知り、さっそく「ぜひ行きたいです!」とずうずうしくお願いしたのです。しかも、彼女がヴァイオリンのソロを弾くということで、ますます楽しみです。一応チケットを4枚お願いしたのですが、さて、誰といくか?平日なので夫と行くのは無理(ベビーシッターが必要なので)。下の娘はまだクラシック音楽のコンサートは早いだろう。ということで、上の娘と、夫の母親と妹さんを連れて行くことになりました。演奏はもとより、まだオープンしていないコンサートホールで観客を呼んでの初のお披露目、ということで、私たちみんなとても楽しみにしていました。

チケットは、菜穂さん本人が、同じくシンフォニーでヴァイオリンを弾いているさやかさんという方とふたりで、わざわざ大学まで届けてくださいました。大学のカフェでコーヒーをすすりながらきくところによると、おふたりとも外国生活が長く、小さい頃から外国で過ごしているので、日本語より英語の方がラクなようです。私が菜穂さんとのメールのやりとりで、日本語だとメールの返信を書くのに何倍も時間がかかるため、途中から英語に切り替えて、「すいません、英語で失礼します」と返信すると、「ありがとうございます!私も英語の方がラクです!」との答えが返ってきました。日本語でメールを書くのは、やはり外国生活の長さに比例して大変になってくるようです。

私は音楽家の方とお会いするのは初めてなのですが、大学の駐車場に車を止めてカフェに向かうのに、おふたりともご自分の楽器を持って車を降りてきたのが印象的でした。盗難防止?それとも、車に置いておくと楽器の調子が悪くなるとか?どういう理由なのかききそびれてしまいましたが、学会に行くのにノートパソコンを家に忘れた経験のある私とは大違いです。

当日、一旦家に帰って晩ご飯を食べ、大急ぎで会場に向かいました。途中夫の母親と妹をフェリーターミナルで拾ってコンサートホールに向かいました。あるはずの駐車場もまだ建設中のようで、また、道路もまだ工事中で、コンサートホールの入り口付近は混雑しています。ちょっと遠くの駐車場に車を止めて、コンサートホールに向かいました。コンサートホールはガラス張りのモダンな外観で、スタヴァンゲルの名所、プレイケストーレンを思い起こさせるデザインです。チケットを渡して中に入ると、ところどころ剥き出しでまだ完成していないのが分かります。

コンサートホール外観はガラス張りです。

2012/06/04

子供の国際交流

夏は毎年日本にひと月ほど帰るようにしています。子供の学校が6月の半ばから8月の半ばまで丸々2ヶ月閉まってしまうのですが、もちろん仕事はそんなに長く休めないので、それならいっそ日本の学校に通わせれば、日本語の勉強にもなるし、日本の人や生活に触れられていい機会であると考えたからです。そうやって夏にまとめて日本に帰るようになって今年でもう4年目です。去年は娘たちふたりとも、3週間ほど幼稚園に通わせてもらいました。

始めての年は、まず受け入れてくれる幼稚園を探すところから始まりました。とはいっても、私の地元は新潟の田舎。日本語もちゃんと話せない子供を受け入れてくれる場所があるか心配でしたが、地元の幼稚園の情報をネットで調べたところ、なんとスウェーデン人の先生のいる幼稚園を見つけたのです。スウェーデン人の先生は英語を園児に教えているようでした。どうやら、国際交流に力を入れている幼稚園らしく、しかもスウェーデン人の先生なら英語でもノルウェー語でもいけるからちょうどよい、とさっそく母親に問い合わせてもらったところ、快く承諾してくださいました。

そうして、思ったよりスムーズに娘の受け入れ先の幼稚園も決まり、上の娘はそれから3年間お世話になったわけです。下の娘も去年からお世話になっており、今年もまた同じ幼稚園に通う予定です。しかし、上の娘は今年から小学校。幼稚園のようにすんなり受け入れてくれるものでしょうか。私も昔通った地元の小学校に問い合わせたところ、「大丈夫ですよ」と、こちらもあっさり承諾してくださいました。というわけで、今年は、上の娘は小学校に、下の娘は幼稚園に3週間ほどお世話になる予定です。

幼稚園では終わりにこんな素敵な冊子を娘達に作ってくれました。娘達の大切な宝物です。

2012/05/30

ノルウェー語のテスト受けてきました

昨日、ノルウェー語のテストを受けてきました。朝の11時から午後2時半までヒアリングと筆記の試験があり、さらに夜にはスピーキングのテストがあり、終わった頃にはもうぐったりです。

テストの出来は・・・微妙。筆記とスピーキングは多分大丈夫と思うのですが、ヒアリングがちょっと心配です。自分のヒアリング力の無さを痛感する結果となりました。普段スタヴァンゲル訛りのノルウェー語を聞いているのがいけないのでしょうか。ちなみに、スタヴァンゲルのノルウェー語はけっこう訛っていて、ノルウェー語で"not"に相当する「イッケ」は、スタヴァンゲル方言だと「イッシャー」、「私」の"I"は標準語では「ヤイ」ですが、スタヴァンゲルだと「エグ」、"what"は標準語だと「ヴァー」ですが、スタヴァンゲルだと「カー」という具合に、随分違います。外国人としては、ノルウェー人口少ないんだから、みんな標準語喋ってよ、と思ってしまいますが、彼らは方言にプライドを持っているので、はいそうですか、と標準語を喋るということはありえません。しかし、話によると、もっと北の方はさらに方言がすごいそうで、北部ノルウェーにお住まい方、ご苦労お察しします。

さて、ヒアリングと筆記テストの方は、スタヴァンゲルフォーラムというコンベンションセンターで行われました。レベル2のテストだけでも、大きな会場にざっと300人くらいの受験者です。ノルウェー語のテストを受けに来る人はこんなにいるのか、と、自分のことは棚に上げつつびっくりです。受けに来ている人も、ロシア・東欧系からアフリカ系から中東系からアジア系からと色々。テストのインストラクションは全てノルウェー語で行われたので(当たり前?)、私は聞き逃さないように必死に聞いていましたが、それでも、ヒアリングテストが終わった後トイレに行こうとして、「まだ休憩時間じゃないから席を立たないで!」と試験官の人に厳しく注意されました。でも、そんな試験官の目を盗んでぱらぱら席を立ってトイレに行く人もけっこういましたよ。私たちは中級ノルウェー語のテストを受けに来ているわけなので、ノルウェー語で出される細かい指示(トイレ休憩はいつとか)を全て完璧に理解することを期待する方が無理ってものです。

2012/05/29

ノルウェー代表惨敗

サッカーではありません。ユーロビジョンの話です。先日始めてユーロビジョンというものを見ました。ヨーロッパにお住まいの方はご存知と思いますが、ユーロビジョンとは、ヨーロッパ全土の歌合戦と思っていただければいいと思います。国ごとに代表を送り込み、各国の投票によって勝ち負けが決まるわけですが、ミソは自分の国には投票できないところです。先週準決勝が行われ、勝ち残った国の決勝大会が土曜日の夜行われました。結果は・・・ノルウェーは決勝大会まで進んだものの、決勝ではまさかの最下位。ちなみに優勝はスウェーデンでした。

ノルウェーの代表はToojiというイラン系の移民の若くてかっこいい男の子でしたが、「dark and handsome」な彼は、言われなければ「ノルウェー代表」とは分かりません。そういえば、去年の代表もアフリカ系の移民の女の子でしたっけ。この、移民がノルウェーの代表として選ばれる、ということに、私は大変驚きました。ノルウェー代表は、ノルウェー国内で行われるメロディーグランプリという大会で決まりますが、これも国民による人気投票で一番票を集めた人が勝つわけです。Toojiはもちろんこの前哨戦で優勝したから、ヨーロッパ大会に出場できたわけです。ということは、ノルウェーの人たちは、移民が国の代表として大きな大会に出ることに全く違和感を感じない、ということなのでしょうか。

私はこの質問をランチの時間に同僚に訊いてみました。「もちろん、移民も大切なノルウェー社会のメンバーだし、彼らがノルウェーの国を代表するのは素晴らしいことだ」というような答えが返ってくるかと思いきや、返ってきたのはもう少しあやふやな返事。「うーん、多分ノルウェー人はそんなに熱心に投票しないんじゃないかな。移民の方がそういうのは熱心だから、それもあるんじゃない」と、投票人口の偏りという意見が出ました。もちろん、私の同僚はエコノミストやビジネス関係の教授及び院生なので、彼らの意見がノルウェーを反映しているとももちろんいえません。また、ある意味インテリ層の人たちはこの国民、ひいては全ヨーロッパの行事を少し引いた目で見ているのかもしれません。

そして、私にとっても始めて見たユーロビジョンの感想は・・・うーん、派手。ところどころで火や花火が出てきます。お国柄が出ている国もあれば、よりポピュラー路線で行く国もあり、言語も英語で歌う国もあれば、自分の言語で歌う国もあり。優勝するために色々なストラテジーが組まれているのでしょうか。歌も、地味よりは派手でインパクトのある歌の方がいいようです。確かに、この大会で優勝するには、よりユニバーサルにアピールするのが必須です。どこまで国のカラーを出して、どこまでポピュラー路線にするのか、そのさじ加減が難しいのかもしれません。

2012/05/26

奇跡の一週間

すいません。ちょっと大げさなタイトルでした。でも、この一週間、本当に奇跡のように毎日いいお天気でした。朝起きるとお日様が照っている。サマードレスにサンダルという格好でも全然寒くない(普段はオープントウの靴は夏でも寒くて履けません)。娘の学校からは、帽子と日焼け止めクリームを持たせるよう連絡が来る。こんなことは、少なくともスタヴァンゲルでは滅多にありません。私の記憶をたぐりよせると、こんなにいいお天気は、私たちが引っ越してきた4年前の夏以来ではないでしょうか。ただ、私たちは、夏に日本に帰ったりしてあまりノルウェーにいないので、暖かい日を逃しているのかもしれませんが、ノルウェーにいた人曰く、「去年は、待てど暮らせど、夏はとうとうやってこなかった」そうなので、4年ぶりの素晴らしく良い天気、というのも大げさではないかもしれません。

こうなると、ノルウェー人はちょっと軽いパニックです。この機会を逃すな、とばかり、みんなお日様にたっぷりと当たります。ウチでも、学校帰りにトイザラスに寄ってビニールプールをや水鉄砲を買って帰りましたが、お店では同じようにプールや外で遊ぶおもちゃを買う人たちでいっぱいです。また、この機会に庭の手入れをするのか、ガーデニングセンターも大人気です。スーパーでは、みんなソーセージやバーガーなど、外でバーベキューするものを買い求めていました。

家に帰って、さっそくプールを出し、みんなで水着に着替え、去年買ったわりに一度くらいしか使わなかったガーデンチェアーとテーブルのセットを並べ、スイカやアイスを食べ、ちょっと錆び付いたバーベキューグリルでサーモンとソーセージを焼いて食べました。両隣のお宅でも同じようにプールを出し、バーベキューをし、子供たちはパンツ一枚で走り回っています。大人も庭のイスに座って日光浴。

先日は娘達に新しい自転車を買いました。普段ぱっとしない天気だと、学校から帰ってきて外で自転車の練習、という気分でもないので、娘達は自転車に乗るのがあまり上手ではありません。上の娘など、まだ補助輪なしの自転車に乗れません。でも、この数日少しづず練習したおかげで随分上手になりました。

下の娘は庭で自転車の練習

2012/05/21

プレイデート

プレイデート、という言葉は日本でも使われるのでしょうか?ノルウェーでも使うのかどうかよく分かりませんが、英語ではよく使う表現です。なんのことかというと、単に、子供を一緒に遊ばせましょう、ということですが、今どきは親も子供も忙しいので、ちゃんと日時を決めておかないと、一緒に遊ぶこともままならないのです。特に娘の学校はスクールバスも走っているほど、学校から遠いところに住んでいる子供も多いので、一緒に遊ぶとはいえ、親が送り迎えをしないといけない場合がほとんどです。なので、子供のお稽古や親の都合など、いろいろと調整して、やっと子供は学校以外のプライベートな時間に一緒に遊ぶことができるのです。

先日下の娘が幼稚園の「親友」たちとプレイデートしました。よく考えて見たら、上の娘にはいろいろプレイデートをアレンジしているのに、下の娘はまだ幼稚園のお友達とプレイデートしたことがない、という事実に最近気付いたので、これではいけない、と、娘の友達のママのひとりに「プレイデートしませんか?」ともちかけたところ、あれよあれよ、という間に、娘がいつも一緒に遊んでいる親友4人といっぺんにプレイデートすることになりました。いつもは、一人の子と予定を合わせるのにも苦労するのに、4人みんなと都合が合うなんて、星の巡り合わせとしか思えません。

集まった4人の女の子たちは、ノルウェー人と日本人ハーフのうちの娘のほかに、両親がアジア系ノルウェー人とデンマーク人、アメリカ人とノルウェー人、そしてコロンビア人とベネズエラ人、という、民族的にも言語的にもばらばらの子供たち。こうして、いろいろなバックグランドの子供たちと当たり前に遊べるのが、インターナショナルスクールのいいところです。そして、私意外の親御さんはみんな石油関係のお仕事をしているのは、やっぱりスタヴァンゲル。そういう意味で、国籍は多様でも、プロフェッショナルの分野に偏りがあります。

2012/05/19

ノルウェーのナショナルデー

やっと終わった・・・何って、5月17日の憲法記念日。

先週は基本的に忙しかったのですが、火曜日にトロムソに日帰り出張したのがやっぱりきつかった。スタヴァンゲルからトロムソへは直行便が出ていないので、オスロ経由で行ったのですが、朝の5時半に家を出て、10時半ころトロムソに到着、11時半からプレゼンをしてそのあとミーティング、そして4時半の飛行機でスタヴァンゲルへ。家に着いたのは夜の8時。疲れた・・・。そして次の日はミーティングやらセミナーやらで一日が終わり、疲れが残ったままに17日の朝。

5月17日はノルウェーがデンマークから独立して独自の憲法を制定した記念すべき日、ということで、もちろん国の祝日。この日、各地で子供たちのパレードが行われます。娘の学校もパレードに参加します。英国学校ではレセプションと呼ばれる、日本で言う年長さんの年からこのパレードに参加するので、娘は去年からパレードに参加したのですが、私はそのとき学会でハワイに行っていて、なんと帰ってくる日にちを計算ちがいしてパレードに間に合わなかったために、娘のパレードを見逃してしまう、という大失敗を犯し、また、全て一人でやらなければならなかった夫にはいまだに嫌味を言われます。

さて、パレードで子供たちは普通ノルウェーの民族衣装で参加しますが、英国学校では民族衣装は着ないで、代わりに学校の制服でパレードします。パレードは朝10時からなので、子供たちは9時に集合です。この日は朝からひどい天気でした。寒いし、雨も降ったり止んだりしています。これが他の日だったら外に出ないで一日家にこもっていたいような天気ですが、パレードなので仕方ありません。子供に温かいウールの下着を着せて、集合場所に向かいます。着いて見ると、みんな悪天候の中、それでもパレードということで少し興奮気味でしたが、中には泣いている子もいます。私だって、このクソ天気の悪い中パレードしろ、と言われたら泣いちゃうかも、気持ちは分かるよ、と、同情の視線を向けつつ集合場所を後にして、パレードの通過地点に向かいました。

それでも道端には沢山の人が集まり、パレードが始まるのを待っています。それにしても、この天気。5月だというのに、また冬に逆戻りしてしまったようです。春は一体どこへ行ってしまったのか。もう戻って来ないのか。おしゃれより防寒を優先させた格好で来てよかった。周りを見渡しても、顔見知りの英国学校の親御さんたちは、ほとんど防寒優先の格好でした。まあ、自分の国の祝日ではないので、気楽なのかもしれません。一方で、ノルウェー人はみんな民族衣装を着ています。でも、雨なので雨合羽を着ていて、せっかくの衣装も良く見えません。


せっかくの衣装も雨合羽でよく見えません。

2012/05/16

ノルウェー語のテストもうすぐです!

「果たして、私にもノルウェー語が流暢に喋れる、などという日が来るのだろうか?」そんなことを考えてしまうのは、あと2週間ほどでノルウェー語のテストだからでしょうか。受けるのは、レベル2のノルウェー語のテスト。一応中級だと思うのですが、在ノルウェーもうすぐ4年の身としては、「まだそんなレベルなの?」と言われても何も言い返せない程度のものです。しかし、このレベル2というのは、実は移民には大切な登竜門。なぜかと言うと、永久居住者になるには、このレベルをパスしないといけないことになっているからです。

ノルウェーに移民したい人は、ノルウェー語ができるのが必須です。これは、250時間のノルウェー語と50時間のソーシャルスタディーのクラスに出席することでクリアできますが、まず、私の場合、クラスをとり始めるのが遅かった。普通は移民してきてすぐに始めるらしいのですが、私の場合は新しい仕事に慣れるのに精一杯でそれどころではなく、さらに妊娠・出産も重なって、結局ちゃんとクラスを取り始めたのは、やっと2年ほど前。それでも、始めてからは、わりと真面目にクラスに出席していましたが、学会や仕事の都合などで休みが重なったりすることもしばしば。しかし、必須のクラスであるため、出席のチェックがとても厳しく、私は未だにこの250プラス50時間をクリアしていません。さらにこの学期はノルウェー語のクラスをお休みしているので(フルタイムで働いて、小さい子供がいる上に夜間の語学のクラスを取るのはさすがにちょっと疲れた!)、一体いつになったらこの条件をクリアできるのかわかりません。そんな折、レベル2のノルウェー語のテストをパスすれば、クラスに出席するのは免除される、という話をきき、それならばいっそテストに合格してしまえ、という戦略に切り替えることにしたのです。

一応模擬テストでは合格しているので、全くムリ、ということもないだろう、と自分に言い聞かせていますが、テストは、ヒアリングと筆記に加えて会話のテストもあり、私はヒアリングと会話に関しては全く自信ありません。ノルウェー語学校の先生は「会話で落ちる人はほとんどいないから」と言って励ましてくれますが、確率はゼロでないわけで、きっと私みたいな人が落ちるんだ、と気持ちはネガティブです。しかし、あまり後ろ向きになっていても拉致があかないので、この2週間はできるかぎりノルウェー語で会話する、という目標を立ててみました。

2012/05/13

自転車でエクササイズ

日本で自転車というと、ちょっとそこまで行くのに、という感覚でなはいかと思うのですが、ノルウェーで自転車というと、もっとスポーツとしての自転車競技が思い起こされるように思います。見かける自転車も、日本によくある、前に籠がついているような自転車はあまり見たことがありません。もっと、スポーツ仕様で、前のめりになって乗るタイプです。また、ヘルメットの着用が義務付けられているので、普通の「ちょっとそこまで」という服装で自転車に乗ると、どう見てもヘンです。だからなのか分かりませんが、道行く自転車の人たちはみんな自転車用の服を着ています。あの、ツール・ド・フランスなどで見るような体にぴったりしたやつです。そうでなければトレーニングスーツみたいなのを着ていて、そう、まさに「トレーニング」の様相です。

サイクリングというものは、ノルウェーではとても人気があるようです。たくさんの人がエクササイズの一環としてサイクリングしているようですが、特に高学歴・高収入の中年男性の間で人気があるそうです。理由のひとつは、本気でサイクリングするような自転車はすごく高いからでしょうか。下手したら中古車一台買うような値段です。さらに、サイクリング用のスーツ、ヘルメット、靴、手袋、サングラス、などなど、サイクリング用品が必要になる上に、自転車整備用のツールなどまで揃えたらかなりの出費です。

私が今住んでいる家は丘(というか、山)の上にあり、道路も整備されていて広く、山をぐるっと一回りするようなループになっているので、自転車のトレーニングをしている人をよく見かけます。しかし、登りはハンパではありません。私は、下の娘の育休中できるだけ毎日散歩に行くことを自分に課していたので、そのループをよく散歩していたのですが、ベビーカーを押して歩いて一周45分くらいかかります。そして、家に帰るころには、もう汗だく。トレーニングしている人たちは、そのループを自転車で登ったり下ったりしているわけです。

また、サイクリングのサークルのようなものもあるようで、グループでぞろぞろと自転車をこいでいる男性たちの姿もよく見かけます。なぜ、男性なのか、よくわかりませんが、有名な自転車レースなどを見ていても、男性ばかり。自転車には男のロマンというものがあるのかもしれません。

2012/05/11

子供と日本語

たまにスタヴァンゲル在住の日本人のお母さん達に会う機会があります。みなさんノルウェー人と結婚してここに住んでいるので、子供はみんな日ノルのハーフです。こうして日本語を話す機会があるのは、私にとってもリフレッシングであり、また、子供たちにとっても、数少ない日本語の会話を耳にするチャンス。そして、もしかして日本語で会話してくれるかも、なんていう期待もしているのですが、なかなかそううまくもいきません。

うちの娘以外の子供たちはみんなノルウェーの学校や幼稚園に行っているのがほとんどです。幼稚園は英語ノルウェー語両方のところに行っている子もいますが、小学校からはノルウェーの学校に行くようです。それは当然といえば当然で、ノルウェーでは大多数の子供たちが公立学校に通うので、普通にノルウェーで生活していたらノルウェーの学校に行くのが当たり前です。なので、私が会ったことのある日本人とノルウェー人のハーフの子は、ほとんどノルウェー語が第一言語です。もちろんノルウェーでは小学校1年生から英語を習うので、みんな最終的には英語が話せるようになると思いますが、小学校入学前や低学年の段階では、英語はあくまでも第二言語で、そんなに上手くは喋れないようです。

一方、ウチの子供たちの場合、英語とノルウェー語、どちらが母国語なのか、私にもよくわかりません。毎日学校で英語を喋っている分英語が話しやすいようですが、ノルウェー語も別に問題なく使っています。ノルウェーに住んでいて、自然に耳に入ってくるのと、夫や夫の家族とのコミュニケーションからくるのでしょうか。確かなのは、彼女たちの母国語は日本語ではない、ということです。

ウチでは、子供たちは「ママはノルウェー語が下手」というのを知っているので、私にノルウェー語では話しません。同時に、「ママは英語が話せる」というのも知っているので、日本語でも話してくれません。なので、先日日本人の研究者の人が来ていたとき、「彼は日本語しか喋れないから、日本語で話してあげてね」と言って日本語で会話をさせようとしたのですが、彼が夫と英語で喋っていたため、ウソは早速見抜かれてしまい、「He CAN speak English!」と言って、それからは英語でしか喋ってくれませんでした。まあ、ちょっとムリがあったかな。

2012/05/09

「先生の話をきく」という能力

上の娘が行っているダンスのクラスは5、6歳、バレエのクラスは6,7歳を対象にしています。先日バレエの方の授業参観がありました。普段のレッスンは保護者立ち入り禁止で一体どんなことをしているのか分からないので、授業参観に行ってやっと、ああ、こんなことをしてたんだ、とレッスンの内容を知ることになります。私は自分ではバレエを習ったことがないので、6,7歳のレベルでどんなことをするのか全く分かりませんが、行って見た感想は、「もうちょっとビシバシいってもいいんじゃないの?」、というものでした。この年ではまだ「踊る楽しさ」を発見するのが優先、ということなのかもしれません。しかし、一応第一ポジション、第二ポジション、などとバレエの基礎をやっていましたが、なんというか、あまい。子供たちのポーズは「見よう見まね」程度のもので、細かいところまでチェックが入っていないのは、素人の私の目から見ても明らか。そして、残念なのは、先生が「もう少しこうやって」「背筋を伸ばして」みたいな、ちょっとした指導をしてあげたら、みんなもっと格段に上手になるだろうに、と思ったからです。

しかし、「厳しい指導」というものは、ノルウェーではあまり歓迎されないのかもしれません。「それじゃあ子供が可哀想」というセンチメントがあるように思います。また、厳しい指導についてくる「競争」や「優劣」みたいなものも、ノルウェーでは、少なくとも小学生のレベルではタブーのようです。上手になることより、あくまでも、みんな一緒に楽しく、というのがモットー。また、ノルウェーの子供たちはおそらく厳しい指導というものに慣れていないので、そんな指導を受けたら即親に報告して、親から先生に苦情が来るかもしれません。

また、よく聞くのは、ノルウェーの子供たちは先生に対する敬意というものがない、という話です。ウチの娘達は英国学校に通っているので、私は実際にノルウェーの幼稚園や小学校というものに触れた経験がないのですが、ダンスのクラスに来る子供たちとその親にその片鱗を見たような気がします。

まず、クラスに平気で遅れてくる。そして、学期の初めに、「レッスンの前にトイレを済ませておくように」と注意を受けているはずなのに、ちゃんと守らないので、毎回必ず何人か「トイレ~」と言ってレッスン中に出てきます。その度に先生は、レッスンを中断してその子をスタジオの外に出さないといけません。また、これは先生からチラッときいた話ですが、子供たちは、先生の話をちゃんときかない。そして、先生の話をきいていなければ、何をするのか分からない。上達もしない。

もちろん、これは一部の話であって、みんながそうだ、というわけでわありませんが、そういう一部の子供たちの態度がクラス全体のダイナミックスに影響するものです。それは、大学生を教えていても感じることです。全員とはいいませんが、似たような若者は大学にも沢山います。そして、そういう態度はクラス全体に伝播して、全体的にあまり先生の話に注意を払わない雰囲気というものが生まれてくることがあります。そして、一度そうなってしまうと、元に戻すのは難しいのです。

2012/05/06

天気の良い日曜の午後には

このところ、変な天気が続いています。晴れて気持ちいいな~、なんて思っていると、その5分後に雪やあられが降ってきたり。また、家の中から外を見ると晴れているので、ぽかぽかしているのかと思いきや、外に出てみると「寒っ」。それも、ちょっと肌寒い、なんてものではなく、5度とか6度とか、5月とは思えない寒さです。しかし、どんなに寒くても、日が照っていると、なんとなく外に出て何かしなくては、と思うのは、やはり、これを逃したら次いつ太陽を見られるかわからない、という北欧の天気のせい。特に、週末には、やはり子供たちを連れて外で何かしにいかないと、という、強迫観念にも似た気持ちが湧いてきます。ノルウェーでは、子供を外で遊ばせてあげないと可哀想、みたいな社会通念があるからです。特に天気の良い週末に子供を外にだしてあげないなんて、悪い親の見本みたいな感じです。

というわけで、「どこに行きたい?」と娘にきくと、ロンドンから帰ってきてからすっかりミュージアム好きの上の娘は、動物の剥製やら骨やらが並んでいるスタヴァンゲルミュージアムに行きたい、と言うのですが、ちょっと前に行ってきたばかりなのと、私が個人的にあまり好きでない(怖い!)ので、どこか他のところに行こう、ということで、ウトステインという僧院に行くことにしました。この僧院は中世に建てられた僧院だそうで、今はミュージアムとして一般公開されています。スタヴァンゲルからすこし離れた島にあるのですが、海底トンネルでつながっているので、フェリーなしでそのまま車で行けるので便利ですし、そっちの方面にはあまり行ったことがないので、ドライブもかねて行ってみることにしました。

友人のノルウェー人夫妻も誘って、スタヴァンゲルからのどかな農業地帯を抜けて、だいたい30分くらいで到着。友人夫妻はもう何度か来た事があるそう。それも、そこで催されたパーティーに行ったそうです。ミュージアムの他にプライベートで貸切もできるのだとか。さらに、お化けが出る、というウワサもあり、そう言われてみれば、ちょっとスプーキーな雰囲気です。そういえば、さっきまで晴れていた空も、なんとなく暗~くなってきました。娘に「ここはお化けが出るんだって。もしかしたらお化けに会えるかもしれないね。」と言うと、娘は半分怖そう、半分嬉しそうな顔で「ほんと~?!」


お化けが出そう?

中庭。ちょうど雪も降り始めてきました。

2012/05/04

そんなんでいいの!?

今日は金曜日。そして、(珍しく)とってもいいお天気。ちょっと軽い足取りで家を出て、学校・職場に向かうべく車を運転していると、なんだかいつもよりすいすい進みます。道路が格段にすいているのです。いつもなら渋滞で、20分くらいかかる道のりが、10分で着いてしまいました。そして、職場に行くと、駐車場も、かなり場所が空いています。いつもなら、やっとスペースを見つけるくらい混んでいるのに。

ランチタイムにも、人があまりいません。いつもなら、テーブルの周りいっぱいに人がいるのに、今日はぱらぱら。博士課程のメキシコ人学生が「今日なにかセミナーでもあったっけ?」と私にきいてきたのは、私たちノルウェー語良く分からない組は、たまにアナウンスメントなどを逃してしまい、みんなが知っていることを知らないでいることがあるからです。後から来たノルウェー人同僚にきいても、別になにもないと思う、とのこと。どうやら、金曜日で天気がいいために、みんな仕事に来ていないようだ、という結論に達しました。そんなんでいいの!?とはいっても、私たちの仕事はフレキシブルなので、家で仕事をしていたり、また、今日は休んで明日仕事、など、わりと自由に時間をずらすことが可能なので、みんながさぼっている、と言っているわけでもありません。実際片道1時間半かけて通勤している同僚は、月曜日と金曜日は原則職場に来ませんが、その分家で仕事をしています。

この、金曜日仕事に行く人が少ない、というのは、実はわりと毎週のことです。それは、朝の道路の渋滞状況からはっきり分かります。金曜日はいつもより確実に道がすいていますし、職場の駐車場も空きのスペースが沢山あります。ただ、今日は金曜日にプラスしてお天気もよかったので、いつもよりさらに仕事に行く人が少なかった模様。

2012/05/02

ノルウェー人と日焼け

日本はゴールデンウイークですが、ノルウェーでも学校が、月、火とお休みだったので、連休だった人もたくさんいたと思います。

さて、そうして連休明けの今日職場に来てみたら、やけにみんな日焼けしています。同僚の一人は、サングラスのあとまでくっきり。他の同僚も「一日庭で日光浴していたら、こんなに日焼けしちゃった」と言っていました。どうやら、週末お天気が良かったので、みんな外で過ごしたため、日焼けしてしまったようです。ノルウェー人、また、他のヨーロッパ人もそうかもしれませんが、みんな日焼け好きのように思います。もちろん個人差はありますが、概して適度に日焼けしていた方が良い、と思われているようです。

これは、バケーションと関係があるのでしょうか?つまり、天気の悪いノルウェーにいたらなかなか日焼けできないけれど、南にバケーションに行けばこんがり日焼けして帰ってくるのがお約束。そういう意味で、日焼けはスタータスシンボルなのかもしれません。また、健康のため、という理由もあるかと思います。日照時間が短い北欧の冬は、ビタミンD不足になりがちなので、太陽が出ていたら、当たってビタミンを作るべし、ということになっています。また、アウトドアアクティビィティー好きのノルウェー人は、外にいる分、日にも焼けやすいことでしょう。

しかし、はっきり日焼けの努力をしている姿も見て取れます。例えば、晴れて天気の良い日の庭の芝刈り(もちろん機械で)などは、男性なら上半身裸、女性なら上はビキニ、などで行っているのも見かけます。また、庭で日光浴するのもよくあることです。確かに、北欧に住んでいると、太陽が出たとき、次にいつ出て来るか分からないので、「今当っておかないと」みたいな気持ちはありますし、太陽が肌にあたる心地良い暖かさは、そんな経験をする機会が少ない分、大変貴重で、幸せに感じます。しかし、それは別に服を着ていてもできるわけですから、やはり服を着ないでやっている場合は日焼け目的ということではないでしょうか。

2012/05/01

プレイケストーレンに登ってきました

先週は、オスロの北にあるオース(Ås)の大学でリサーチフェローをしている若い日本人の研究者の人が来ていました。セミナーで発表してくれるようにお願いしてきてもらったのですが、個人的にも知り合いなので、セミナーが終わったあともそのまま残ってもらったのです。彼と始めて会ったのはコロラドにいた頃です。私たちはコロラド州立大学に勤めていたのですが、同じくコロラドにある、コロラド大学でポスドクをしていたのが彼です。環境経済学者、ということで、分野も重なるし、また、夫の研究分野と同じなので、コロラドでも何度か会ったのですが、その後学会で会ったとき、ノルウェーの大学で働くことになった、ときいたのが、もう二年ほど前でしょうか。その後、何度もスタヴァンゲルに招待しようとしたのですが、「なぜ明日できることを今日する必要があるのか?」となんでも先送りにする習性のある夫に任せていたため、全く進展がないので、とうとう私がイニシアティブを取り、今回の招待に至ったわけです。

最初にスタヴァンゲルにおいでよ、と招待した頃から彼が行ってみたいと言っていたのがプレイケストーレン。リーセフィヨルドから600メートルほど垂直に上がった崖です。その崖の上が平らになっていて、その姿が司祭が説教する台のようだ、と、「Pulpit Rock」の英語名がついています。スタヴァンゲルエリアでは、一番の観光名所です。もちろん、そのまま崖を登ることはできないのですが、後ろから回っててっぺんに行くことはできます。一応目安は片道2時間のハイク、ということになっていますが、普通の人は1時間半くらいで登れるようです。一週間前に夫がアメリカ人の同僚を連れて行ったときは、まだ雪が少し残っているものの、問題なし、ということで、土曜日に彼とふたりで行く予定になっていました。しかし、そこはノルウェーのこと。どんな天気になるかわかりません。一応天気の様子を見て、あまり激しい雨などだったら中止にしよう、と思っていたのですが、当日はなんと、ぴっかりいい天気!暑くも無く、まさにハイキング日和です。

私はプレイケストーレンに登るのはこれで二度目になります。始めて登ったのは、まだノルウェーに引っ越す前。もう、7年も前になるのでしょうか。そのときは登り切ったものの、けっこうキツかったのを覚えています。また、一緒に行った夫(当時の彼氏)のお母様はすいすい登っていて、さすがノルウェーの人は足腰が強いなあ、と感心したのを覚えています。

夫は娘達を連れて映画を見に行くと言うので、彼らを中心街で降ろし、日本人ふたりはフェリーに乗ってプレイケストーレンの入り口に向かいました。入り口の駐車場に車を止めて、いざ!でも、駐車場の時点ですでに素晴らしい景色。もうこれで満足して帰ろうか、なんていう話も出ましたが、がんばって頂上を目指します。

登り口。この時点ですでにそれなりの高さです。
2+2t とは、目安として行きに2時間、帰りに2時間みよ、ということ。

2012/04/30

博士課程ディフェンス


異様に忙しかった一週間が終わりました。アメリカ人の同僚が帰ったのと入れ替わりに、ノルウェーの大学でリサーチをしている日本人の若い研究者の人が来ていたのです。それに加えて、ノルウェー人の同僚の博士号のディフェンスがあり、さらに娘のバレエの発表会などもあって、本当に忙しかった!書き所盛りだくさんの一週間でしたが、とりあえず今日は博士号のディフェンスの話をしたいと思います。

学校や学部によって様々ですが、博士課程終了時に「ディフェンス」をするのは珍しいことではありません。ディフェンス(防衛)というのは、自分の研究について発表し、それに対してオポーネント(敵)がいろいろ質問し、またその質問に答えて自分の研究をディフェンド(防御)する、という一連の学術的なやりとりのことです。このディフェンスの形式も様々で、私が前に働いていたコロラドでは、ディフェンスは内部でのみ行われていました。つまり、オポーネントも出席者も学部内の人に限られていました。しかし、ノルウェーではこれが外部にも開かれています。オポーネントは二人いるのですが、二人とも学部外から招聘されます。内部で行われるディフェンスの場合、内部でのみ通用するような基準で評価がなされる危険性がありますが、外部評価の場合、国際基準で判定されるということです。また、誰でも出席できるので、学部外の人はもちろん、家族や友人まで来るので、緊張感も倍増です。そういう意味で、ノルウェーのディフェンスはかなりフォーマルです。

さて、ノルウェー人の同僚で、1月からポスドクを始めたばかりの女性がいます。彼女はもともと栄養士として働いていとのですが、博士を取ることに決めて、10歳から12歳くらいの子供の健康な食事習慣について研究していましたが、とうとう先日ディフェンスをしたのです。オポーネントは、その分野では国際的にも名の通っているベルギー人の女性研究者と、同じくその分野でいろいろ論文も出しているノルウェー人の男性研究者のふたり。名前は知っていても、特に面識はないそうで、一体どんな質問をされるのか、全くわかりません。彼女はもう一ヶ月も前から準備して、ずっと緊張しまくっていました。

当日、まずは「トライアル レクチャー」といわれるものから始まります。トライアルレクチャーは、2週間前に与えられた題について、1時間レクチャーするというものです。題は自分の研究内容に関連したものが与えられるようですが、それを一般の人にも分かるように、分かりやすくレクチャーすることになっています。会場のレクチャーホールは、50人ほどの人が彼女のレクチャーをきいていました。学部の人も沢山来ていますが、彼女の家族や友人らしき人たちの姿も見えます。彼女は落ち着いた様子でレクチャーを始め、内容もわかりやすくまとめてあり、とてもよくできたレクチャーでした。このレクチャーのあと、オポーネントと学部内の代表からなるコミティー(委員会?)が、今のレクチャーは博士号取得に値するかどうか審議します。それもかねて、昼食休憩が取られました。

右に立っているのが同僚。左はオポーネント。

2012/04/24

放課後アクティビティー

月曜日と火曜日。この2日間私たちはちょっとばたばたしています。なぜかというと、上の娘のダンスのレッスンがあるからです。月曜日は6時15分からバレエのレッスンです。そのまま行ったら少し早すぎるので、いったん家に帰って、大急ぎでご飯を食べ、夫か私どちらかが上の娘を連れてスタジオへ。しかもけっもう離れた所にあるので、車で片道20分くらいかかります。火曜日はダンスのレッスンが5時からなので、4時に娘たちを迎えに行って、そのままスタジオへ。下の娘は上の娘のレッスンが終わるのを待っていなければいないので、DVDなどを持参して、暇つぶしができるようにします。

さらに、今週からそこにサッカーの練習が加わりました。上の娘が学校のサッカークラブに参加することになったからです。なので、月曜日はサッカーとバレエ両方の準備をしておかないといけません。

子供の放課後のアクティビティーで走り回る親は私たちだけではもちろんありません。ほとんどの子供がなにかしらのアクティビティーに参加しているようです。近くであるなら勝手に行って帰ってきてくれるのかもしれませんが(近所の子供たちはそうしているようです)、遠い場合はやはり親が送り迎えしなければです。また、アクティビティーによっては(サッカーなど)、週末の度に、今日はどこそこで試合、などど、あちこちに遠征しているようで、親は大変です。

ポピュラーな習い事は、バレエ、ダンス、水泳、サッカー、体操、などのスポーツ系と、ピアノ、ヴァイオリン、演劇、などの芸術系でしょうか。空手やテコンドーなどの武術系も人気です。地域のカルチャースクールでいろいろなクラスを取ることもできますが、なかなか空きがなかったりするので、プライベートのレッスンに行くのも一般的です。娘達のいとこの女の子達(12歳と9歳)はバトンとハンドボールをやっていて、バトンの方は地区大会で入賞するほどの腕前です。

ところで、夫は娘にテニスの英才教育を受けさせたいと思った時期があったのですが、それはノルウェーに引っ越した時点で無理となりました。なぜかというと、カリフォルニアのようにタダでいつでも使えるテニスコートがあまりないのです。また天気も悪いので、いつも練習しようと思ったら高い会費を払ってテニスクラブのメンバーになり、高い使用料を払ってテニスコートを使うことになります。アンドレ・アガシは子供の頃から毎日何千球だかのボールを打ち込んでいたそうですが、そんなことをしていたらえらい出費です。まあ、そんな小さいことを気にしていたら、天才なんて育てられないのでしょうが。

2012/04/22

「縁」って不思議

若い頃はあまり「縁」などどいうものについて考えていませんでしたが、年を取るにつれ(!)、「縁」って面白いな、と思うようになりました。なにしろ、私の人生、様々な縁によって今まできたような気がします。その時々の、周りの人のちょっとした一言でぽろっと人生が変わってゆくにつれて、「出会い」って大切だなあ、とつくづく思うのです。

まず、高校時代、留学したいと思っていたときに、それまで会ったこともなかった、カナダに住んでいてイギリス人と結婚していた遠い親戚のおばさんに会うことができ、彼女の、「アメリカの大学に行きたかったら、生半可に語学留学などせず、まずは日本でTOEFL(留学生用の英語のテスト)の点数を上げることが先決」という言葉を胸にTOEFLなど英語テスト専門の学校に10ヶ月通い、おかげでTOEFLの点数だけ見たらアメリカの大学院に入学できるレベルまで上がりました。

大学選びでは、いくつか受かった大学の中で、「ワシントン大学がいいよ!シアトルは素晴らしいところだ!」と言ったのは、シアトル出身の英語学校の先生。あまり深く考えずに「そっか」とワシントン大学に行くことにしたのですが、確かにシアトルはとっても住みやすく、大学もよい学校でした。始めての海外旅行が大学留学、という、今思えばかなり無茶な行動ですが、特に問題も無く、周りの人に助けられながらなんとか生活も軌道にのっていったのも、様々な「縁」に支えられていたのだなぁ、と思います。

そして大学4年のとき取った環境経済のクラスが面白く、そのまま環境経済を勉強しに大学院に行きたい、と思っていたとき、その環境経済のクラスを教えていた教授が、「それだったら経済学部ではなく農業資源経済学部に行くといいよ。特にいい大学はカリフォルニア大学のバークレーとデイビスかな」と教えてくれ、早速願書を提出しようと思ったら、バークレーの願書締め切りはとっくに過ぎていたので、デイビスに願書を出したところ、統計学の学位を取っていたのが功を奏して奨学金付きで入学決定!そして、同じ年に入学してクラスメートだったのが今の夫。そして、彼と気が会った原因のひとつは、彼もデイビスに来る前はシアトルに住んでいたことと、そして、シアトルに住んでいた人らしく、彼も私と同じエスプレッソ好きであったことです。それがきっかけとなって結婚までしちゃったわけですから、それを思えば、シアトルからデイビスという選択が、私のその先の人生に大きく影響したわけです。

2012/04/19

数学食べず嫌い?

大学では経済学、特に計量経済学を教えている私ですが、計量経済学というのは経済学の問題を分析するために発展した統計学のことです。統計学はもちろん数学をたくさん使います。自分が今そのような学問を大学院生に教えている、という事実を鑑みると、私はまったく驚いてしまいます。なぜなら、私は小学校から高校を卒業するまで、数学が得意であったためしがないのです。得意だった教科は英語、国語、社会などで、理科はそこそこ、そして数学はいつもぱっとしない成績でした。なので、高校では迷うことなく文系のコースを選び、できるだけ数学から離れるように努力していました。微分・積分なんて、一体将来どんな役に立つというのか、と半ば怒りながら数学の授業を取っていたものでした。特に、私は国際公務員になるのが夢で、開発学を勉強したいと思っていたので、数学なんて人生に必要ないわ、と思っていたのです。

それが、どこをどうやって今に至ったのか。きっかけはやはり留学したことです。アメリカの大学で、アメリカ人に混じって勉強する。たとえ日本では英語が得意であったとしても、それまでの人生英語のみで生きてきたアメリカ人と比べたらそんなものは全く役にたちません。そして、忘れもしない、始めて取った国際関係論の授業で、いきなり必須の本が7冊。レポート5本。日本語でも大変なのに、英語でなんて、今まで英語の本を一冊読みきったこともない私には、どう考えてもムリ。結局そのクラスを取るのも、国際関係学を勉強するのも諦めました。

そこで、私は考えました。どうやったらアメリカ人と対等に渡り合えるのか。英語ではどう考えても勝ち目はない。そこで思い至ったのが、数学。数字の言語は万国共通。数学だったらなんとかなるかも。これは、今思い返せば、私の人生を180度変えることになった思いつきでした。日本にいたときは苦手だった数学ですが、そうはいっても数学のレベルの高い(はずの)日本の高校を出たのだから、その辺のアメリカ人よりはできるだろう。そう思って、数学のクラスを取り始めたのです。そうしたら案の定、大学の数学のクラスで、日本の高校、下手したら中学レベルの問題が出てくるではないですか。なので、問題さえ理解できれば、解くのは楽勝!そうやって数学のクラスを取って行く中で出会ったのが統計学です。そして、標準分布の素晴らしさにすっかり魅せられてしまった私は、そのまま統計学の学位を取ることにして、ついでに経済学の学位も取っちゃいました。そうして現在の私につながっていくわけです。

2012/04/18

ノルウェーでテイクアウト

ノルウェーの物価が高いのは、ノルウェーに住んでいなくても、一日過ごしてみれば充分感じていただけることですが、住んでいる者として、やはり頻繁に外食できないのはツライところです。仕事から帰ってきて、「ああ、今日はご飯作るのめんどくさい」という日があるのは必然です。そんなとき、手軽に、安くて美味しい物をテイクアウトできたらどんなにラクなことでしょう。ノルウェーではそのような物は存在しないので、今ある選択肢の中から選ぶしかありませんが、そんなとき私たちが選ぶのはどのようなものかといいますと・・・

1.チャイニーズ。中国人てすごい、と思うのは、どんなに小さい町にもたいがい一軒は中華料理のレストランがあるということ。アメリカでもそうでしたが、それはノルウェーでも同じ。ただし、味はか・な・り・ノルウェー人の口に合うように直してあるので、思ったものと違う物が出てくることもしばしば。また、ご飯が食べられない、もしくは食べたくない人(そんな人がいるのですよ)のために、ポテトがオーダーできることと、また、中華料理が食べられない人、もしくは食べたくない人(でも付き合いで来てる人)用に中華料理以外のもの、例えばステーキなど、をオーダーできることが、ヘンとはいえノルウェーっぽいです。どちらかというと安い部類に入り、ランチスペシャルなどは1000円前後で食べられます(ノルウェーでは一番安くてこんな値段)。私は中華料理にはどうしても中国茶が飲みたくなるのですが、今までのところ、お茶を注文しても、出てくるのはトワイニングばかり・・・。

2.タイ。意外にも、ノルウェーで食べるタイ料理は美味しい!他の国の料理がノルウェー版になっているのに対し、タイ料理はもう少し本場の味を残しているのではないかと思います(タイ人はそうは思わないかもしれませんが)。多分これは、ノルウェー人がタイに頻繁にバケーションで行くので、本場の味を知っている人が沢山いるため、というのと、タイからの移民がけっこういるから、ではないかというのが私たちの予想です。タイ料理の食材も、日本食に比べてかなり手に入りやすい。すごく辛いのが好みの人は「タイスパイシーで」とお願いしないと、ただ「スパイシー」だけだと、ややマイルドなノルウェー人向けスパイシーにされてしまいますのでご注意。

3.インディアン。私はもともとそんなにインディアンが大好き!というほどでもないのですが、最近美味しいインディアンのレストランを見つけたので、行くようになりました。ロンドンはインディアンが美味しいという定評ですが、私たちの行くインディアンのレストランはロンドンで美味しいといわれていたものに引けを取らない味だと思いました。でも、値段はちょっと高め。

4.ローカルフードのレストラン。何軒か地元の食材にこだわったレストランやカフェがあるのですが、そういうところはシンプルなサンドイッチなどがけっこう美味しいです。また、スタヴァンゲルの近くにヤーレン、と呼ばれるノルウェーでも有数の農業地帯が広がっていて、おいしいお肉が有名です(この近辺でだけでしょうか?)。なのでヤーレンのお肉を使ったバーガーなどもけっこう美味しいです。だからといって、神戸牛みたいなものを想像するとがっかりすることになりますが。

2012/04/16

共働きプロフェッショナル夫婦の悩み

大学院のクラスメートで、アメリカの大学で准教授をしているアメリカ人の友人夫婦がいます。普段そんなに緊密に連絡を取っているわけでもないですが、フェイスブック経由で、奥さんがワシントンDCの政府系の研究機関で働くことにした、というのを知りました。去年スタヴァンゲルに家族で訪ねてきてくれたときに職探しをしている旨をきいていたので、とうとうか、と思ったわけですが、旦那さんの方は今DC近辺で職探しをしている、ときいて、少し意外に思いました。

この夫婦は二人ともテニュアトラックの准教授のポジションについていたのですが、旦那さんの方が最近テニュアを取った、つまりその職場で永久就職の地位を獲得してアシスタントからアソシエートプロフェッサーに昇進したばかりでした(アメリカのテニュアシステムについては、「なぜノルウェーに住んでいるんですか?」参照)。なので、その永久就職の口を蹴ってDCに行くとは、ずいぶん思い切った決断をしたものだ、と思ったのです。

でも、今の職場で、奥さんはけっこう大変な苦労をしていました。それほど詳しくは知らないのですが、教えている学生との関係がうまくいないことが何度か続いて、ティーチングの評価があまりよくなかったようです。さらに、それを改善しようにも、学部内の他の教授たちが全く助ける気がなかったようで、こんなに私のことを評価してくれない所で働くのはまっぴらごめん、もう限界、というところまできていたところに、そのDCの機関から「お願い、是非ウチに来て!」と彼女にラブコールが送られてきたようです。待遇も現在に比べて格段にアップ。彼女がそっちに移りたい気持ちもとてもよくわかります。

しかし、彼女の場合、自分一人のことを考えていればいいわけではありません。旦那さんと子供二人。そして、旦那さんの方は永久就職が決まったばかり。さらに、旦那さんには子供たちに、自然の中でのびのび育って欲しい、という願いがあるようですが、DCに越したら自然のなかでのびのび、という具合にはいなかいでしょう。うーん、難しい!

2012/04/14

アートの心を育てるのは?

私も夫も特にアートに通じでいるとか、アートの心得があるとかでは全くないのですが、それでも子供たちを美術館などに連れて行ったりして、アートに親しむ努力をしてはいます。とはいえ、キュレータの方々のように、その作品の歴史的な背景を知っているわけでもないので、連れて行っても作品を一緒になんとなく眺めた後、クラフトルームでお絵かきをしたりする程度です。

しかし、先日ロンドンでナショナルギャラリーを訪れた際、6歳の娘と娘の友達は丸々三時間ほど入りびたりで、その広い敷地の全ての展示室を回ったのでした。ナショナルギャラリーを訪れたことのある方はご存知と思いますが、なにしろ何十室も展示室があり、大人でも全部回るのは大変です。ひとつひとつの作品を丁寧に見ていたら一日あっても足りないような展示です。夫などは全部の部屋を回りきる前にもう疲れて、やはり疲れて眠ってしまった下の娘とその辺のイスに座って待っていたほどです。

なぜ娘達が(すぐに飽きちゃうだろう、という予想に反して)そんなに夢中でギャラリーを見て回っていたかというと、一緒に行った娘の友達のママがとても上手に子供たちの興味を引き出していたからです。まず新しい展示室に入ると、彼女は子供たちにその中で一番好きな絵を選ばせます。そして、みんなでその絵の前に立つと、「一歩、二歩」と展示のロープからさらに2歩下がらせ、そこに座り込みます。そして、「この絵の中に何が見える?」「これは何をしているところ?」と、その絵について子供たちに話をさせるのです。そうすると子供たちは我先に「これは散歩しているところ」とか、「りんごが見える」とか、その絵の中にいろいろ発見するわけです。また、有名は絵では、「この絵はね、絵の鏡の中に、この絵の中の人たちのリフレクションが写っているので有名なんだよ。あなたたちにはそのリフレクションが見えるかな?ちょっと見てごらん」という具合に、うまくその絵の特徴を盛り込んで解説してくれます。

さらに、「この絵はね、描いている人が自分自身を描いた絵なんだよ。そういう絵を肖像画、というの。あなたたちも、お家に帰ったら鏡を見ながら自分の顔を描いてみようか?」という感じに、子供たちが自分でもできるアクティビティーにつなげていきます。私は「うまいな~」と、すっかり感心して彼女のガイドっぷりを見ていました。

2012/04/11

女性の生き方

今日本から修士の学生さんがフィールドワークに来ています。彼女は、私が去年日本でノルウェーに関するセミナーをしたときに来てくださったときにお会いして、ノルウェーでフィールドワークをしたいということで、そのお手伝いをする約束をしたのです。彼女は日本とノルウェーの女性の生き方、もっといえば、女性の様々なライスステージでの就業の選択と、社会保障システムの関連に興味があり、私の働くスタヴァンゲル大学の学生を対象にアンケートを取りたいとのことでした。

たしかに、ノルウェーの女性は、「家庭か仕事か」「子供かキャリアか」みたいな選択を迫られる必要がありません。「家庭も仕事も」というのが普通だからです。比較的短い労働時間、認められている病欠の権利(子供や家族が病気のときももちろん使えます)、消化するのが当然の有給休暇、そしてもちろん、充実した産休・育休のシステム。また、父親も育休を取らなければならない「パパ・クオータ」のシステムで(「ノルウェーの産休・育休」参照)育休中の男女格差も是正する努力がなされています。職場での男女差別はタブー、それどころか、様々な女性優遇の制度もあります。

また、ノルウェーでは、女性も働くのが当たり前、という社会通念があります。ノルウェーでも昔は男性が外で働き、女性が家と子供の世話、という図式がありましたが、それは今はオールドファッションであると思われています。もちろん、今でも専業主婦という人たちはいますが、どうやらいくつかのパターンに分かれるようです。ひとつのパターンは、夫が社会的地位が高く、高所得であるが、その分仕事の拘束時間が長いので、奥さんが家庭を担当する、というケース。もうひとつは、どちらかというと低学歴、低収入であり、よりコンサバティブな夫婦である場合、昔どおりの、男は外、女は内、という図式を維持しているタイプ。あとは、奥さんが移民で、なかなか思うような仕事がみつからない、というケースもあるようです。もちろん、全部の専業主婦がそのパターンに当てはまるわけではありませんが、「専業主婦」というのは、ノルウェーではある意味正当化するのが必要な肩書きであるようです。ノルウェーでは、結婚していても、子供がいても働くのが当たり前なので、「専業主婦です」と言うと、「なんで?」という質問が返ってくるからです。

2012/04/10

ノルウェーVSイギリス

先日訪れたロンドンでお世話になった知り合い一家は、お父さんもお母さんも石油関連の会社で働いています。スタヴァンゲルはノルウェーの石油基地なので、石油関連の会社で働く人はたくさんいます。石油関連と一口に言っても、エンジニアからファイナンス、HR(ヒューマンリソース)とたくさんの仕事があるわけですが、専門職の人たちの中には転勤族もいます。この人たちは、2、3年毎などに一度転勤があり、いろいろな国を渡り歩きます。娘の学校にもそういう親御さんの子供たちがたくさんきているので、やけに出入りが激しいです。転勤は、会社から出向を命じられて行く場合と、本人が希望する場合とあるようです。

知人一家の場合は、会社からそういう話がきて、そのときちょうど第二子を妊娠中だった奥さんは、ロンドン赴任と産休を合わせることにして、娘さんもまだ学校に上がる前、ということで、ちょうどいいタイミングであると判断してロンドン赴任を決めたようです。

そして、1年半。このままロンドンに滞在することも、仕事上は可能であるけれど、この一家はノルウェーに戻ってくることにしました。なぜ素敵なロンドン生活を捨ててスタヴァンゲルに戻ってくることにしたのか、もちろん突っ込んで質問させてもらいました。

ひとつは、労働のスタイルの違いです。イギリスはどうやら、ノルウェーよりもかなり労働時間が長いようです。朝7時に出勤して夕方5時、6時まで仕事。通勤に小一時間かかるので、朝はやくに家を出て、夜帰宅。これは、日本人にしたら普通、もしくはいい方かもしれませんが、ノルウェーの労働スタイルに慣れた人にとってはツライことでしょう。なにしろ、ノルウェーは朝8時から夕方4時ごろまでが普通の労働時間。スタヴァンゲルなら、通勤も長くて20~30分くらいなのではないでしょうか(しかも自家用車で通勤が普通)。イギリススタイルだと、子供と過ごす時間もほどんどありませんが、ノルウェーだと家族揃って夕食を食べ、宿題を見てあげたりする時間も十分あります。

そして、物価高。ノルウェーはかなり物価が高いですし、家も小さな街のわりに割高ですが、やはり世界有数の都市ロンドンの住居費はかなり高いようです。彼らは南西地区にある住宅に住んでいましたが、やたらに縦に伸びた住宅で、全部で7層!地下、キッチン(1階)、リビング(2階)、ベッドルーム1とバスルーム(3階)、ベッドルーム2と3(4階)、バスルームとベッドルーム4(5階)、そしてロフト(6階)、という造りです。なので、面積的にはけっこう広いですが、それが横でなく縦に伸びているわけです。ロンドンでは典型的な住宅であると言っていました。この住宅は会社の斡旋で住んでいるのですが、このままロンドンに滞在するとなると、自分で住宅を購入しないといけなくなります。そして、現在と同じような条件の住宅となると、1.5億円(!)くらいするんだとか。それでも、彼らによると、そこはミドルからアッパーミドルクラスの人の住む住宅だそうで、決してお金持ちの住む地域ではないということです。

2012/04/09

ロンドン訪問

イースターのお休みにロンドンの知人のところに家族で遊びに行ってきました。夫は随分前にも行ったことがあったそうですが、私と娘達にとっては初ロンドンです。スタヴァンゲルからはガトウイックまで直行便が出ているので、ほんの一時間半ほどでイギリスに着いてしまいます。ガトウイックからは特急列車がロンドンのビクトリアステーションまででていて、30分でロンドンの中心に着きます。アメリカや日本には行っても、あまりヨーロッパ内を旅行したことのない私は、その近さにびっくりです。

駅まで知人が車で迎えに来てくれることになっていたのですが、代わりにタクシーで迎えに行く、とのこと。どうしたのかと思ったら、なんとガソリン運輸関係の労働者のストにより、ガソリンスタンドでガソリンが品切れ!ガソリンを入れてから迎えに行こうと思っていた知人はタクシーで来る羽目になったのでした。

私たちが訪ねたのは、上の娘のもとクラスメートのお宅。お父さんがノルウェー人、お母さんがメキシコ人、という組み合わせ。娘さんは、うちの娘たちと同じスタヴァンゲルの英国学校に通っていたのですが、1年半ほど前にお父さんの仕事の関係でロンドンに引っ越したのです。でも、この夏またスタヴァンゲルに戻ってくるということで、仲のよかったうちの娘ともう一度「コネクト」してもらって、引越しがよりスムーズにいくようにしたい、ということで、私たち一家をロンドンに招待してくれたのです。お母さんは、私たちが遊びに行く随分前から、ロンドンで何をしたい?あんなことやこんなことができるよ、というなが~いリストを送ってくれていたのですが、滞在日数は少なく(正味4日ほど)、また、小さい子供づれなので、あまりムリせずに、できる範囲で楽しもう、ということにしました。ただ、娘がバレエを見たいというので、下の子も楽しめる「My First Sleeping Beauty」という子供向けのバレエのチケットを取ってもらいました。

そして、初日。とりあえずロンドンの中心街に行くことにしました。ロンドンブリッジの歌をうたいながらロンドンブリッジを渡ったり、観光バスに乗って雨に降られたり、バッキンガム宮殿に行ったりして、ロンドンに来たんだ、という実感を堪能。二日目は、子供たちと父親組は公園へ、私たち母親組は買い物♪ ロンドンでのショッピングはスタヴァンゲルとは比べ物にならない楽しさです。そして三日目はバレエの公演に行って、その後ナショナルギャラリーに。カルチャーに浸った一日でした。そして最終日はサイエンスミュージアムへ行って、美味しいベトナム料理を食べに行っておしまい、と。随分充実した4日間でしたが、ロンドンを見るには全く日数が足りませんでした。ウエストミンスターにも、大英博物館にも、ロンドンアイにも行かずじまいでちょっと残念でしたが、ま、近いんだしまた来よう、ということに。ロンドンを案内してくれた知人一家にも感謝です。

観光バスから見たビッグベン
バッキンガム宮殿は外から見るだけで、中には入れないんですね。

バッキンガム宮殿の衛兵は若くてびっくり。高校生のバイトかと思うほどでした。

2012/04/01

もうすぐイースター

そう、イースター(復活祭)の時期です。ノルウェーはもちろんキリスト教国なので、イースターをお祝いします。とはいえ、私も夫もクリスチャンではないので、イースターといわれても「ふーん、そう。」くらいなもので、せいぜいイースターバニーと色とりどりのタマゴ、が連想されるくらいでしょうか。なので、自分でなにか実践してお祝いをした経験はないのですが、子供も大きくなってきて「イースターって何?」などどきかれるので、夫が昔習った、そこはかとない記憶をたぐりよせて説明してくれました。それによると、今日、日曜日はパームサンデー、イエスがエルサレムにやって来た日、そして、来週の木曜日がホーリーサーズデーで最後の晩餐、金曜日がグッドフライデーでイエスが十字架貼り付けになって亡くなった日、そしてイースターサンデーに復活した、というふうに、キリスト教の方にとってはとても重要な意味を持つイベントです。

しかし、北欧に住む者にとって、イースターはまた、春の訪れを意味します。なが~い、暗~い冬が終わって、やっと明るい春がやって来た!という嬉しい時期です。このうきうき感は、北欧の冬を体験した人でないと分かってもらえない感覚ではないかと思います。そして、昨日などは、珍しく気持ちよく晴れた日で、もう気分は春!しかし、油断は禁物でした。あまりの天気のよさに、靴下ナシのフラットシューズ、コートはなしでカーディガン、といういでたちで出かけたら、晴れてはいても寒い!また、今日起きたら外は雨。春はいったい何処へ行ってしまったの?

しかし、日がどんどん長くなっているのは、確実に感じられます。朝起きたとき明るい!そして夜は8時でもまだ明るい!これがこのままもっともっと長くなって、「もういいかげん沈んでくれないかしら」と思ってしまうほど日が長くなるのが北欧の夏です。極端なのは、極端に北に住んでいるのだから仕方がないのでしょうか。また、日本だと、春といえば桜ですが、こちらは黄色い水仙の花が春の象徴のようです。水仙とひよこの鮮やかな黄色がショーウインドーを飾ります。また、新学期は8月半ばに始まるので、日本のような、新しい門出、という位置づけもありません。

2012/03/31

ノルウェー人もオカルト好き?

先日仕事関係のディナーに行ってきました。一緒に仕事をしているトロムソの人が来ていたので、ノルウェー人の同僚ふたりと4人でディナーに行ったのです。その席で、お化けの話になりました。なぜそんな話題になったのかというと、同僚の奥さんがこのところ気分が優れないので、自宅にヒーラー(治癒能力のある(と思われている)人)に来て貰って治療をしてもらったところ、あまりよくないゴーストがいるみたいだから、一度窓をあけてキャンドルを灯し、ゴーストに出て行ってもらうといい、という助言を受けたそうです。

同僚曰く、そのヒーラーは、だからといってお祓いするから代金はいくら、とかいう感じではなく、ただ好意として助言してくれたようなので、もともと怖がりな奥さんは、本当にお化けがいるのかもしれない、と、かなり心配になってしまったそうです。なので、ちょっと物音がすると、ゴーストかもしれない、と神経質になってしまって、それでちょっと奥さんの具合がよくない、という話でした。別の同僚は「そんなに心配なら、助言に従ってお祓いしたらいいんじゃないの?」と言いますが、多分お祓いまでしてしまうと、ゴーストがいることを認めてしまうことになるので、そっちの世界の扉を開けてしまうようで、それはそれで怖いのではないかと思われます。

基本的に怖がりの私にはあまり好ましい話題ではありませんでしたが、そんなことはおかまいなしで会話は続きます。トロムソから来ている仕事仲間は、お母様が霊感が強いそうで、自宅の近くで行われている工事をゴーストが止めようとしている、というのを感じているのだとか。なんでも、工事が進められようとすると、必ずなにか起こって(例えば重機が動かないとか)全然進まないそう。また、随分古い家に住んでいるお友達は、なにかとゴーストにイダズラをされるそうで、一人暮らしなのに、シャワーを浴びていたらすごく重い家具がバスルームのドアの外に動かされていて、バスルームから出られなくなったり、夜中に音がしたりするそうな。きゃー、やめて!

2012/03/29

北欧ミステリー

私は昔からミステリーが大好きで、よく読んでいるのですが、ノルウェーの人もミステリーが大好きです。そして、ノルウェーでは、なぜか復活祭はミステリー、と決まっていて、本屋さんでも大々的にキャンペーンが張られたり、テレビでもミステリーのドラマを放送したりします。もうすぐ復活祭なので、ミステリー熱も自然盛り上がるというものです。

私が北欧のミステリーにはまったのは、たぶん10年近く前にスウェーデンのヘニング・マンケルのワランダーシリーズを読み始めてからでしょうか。夫(当時は彼氏)が「この本面白いよ」と勧めてきれたのがきっかけです。カート・ワランダー(中年~高年)はスウェーデンの地方都市の刑事(警部?)なのですが、彼は連続殺人の犯人を追いかけてただでさえ大変なのに、私生活でも奥さんや娘、自分の父親との関係に悩んだり、運動不足で体重が増えたり、お酒を飲みすぎたりと、ぜんぜんかっこよくない主人公です。でも、その人間くさくて不器用で、普通の人と同じように悩みを抱えながら、殺人犯を追いかけるという暗くて難しい仕事と自分の生活をなんとか両立させようともがいているところが魅力です。ワランダーを読んでいると、理想的な家庭を持つ、「ミッドサマー マーダーズ(イギリスのテレビドラマ、知らない方、すいません)」のバーナビー警部がずいぶんうそ臭く感じるほどです。

今読んでいるのは、やはりスウェーデンの作家、カミラ・ラッケルバーグのシリーズです。これは、スウェーデンのリゾート地を舞台に、作家のエリカと刑事のパトリックのカップルが事件を追いかけるシリーズです。一作目からさっそく面白く、立て続けに読んで今3冊目を読み始めたところです。これは、女性作家が書いているだけあって、マンケルよりも女性目線で書かれていて、主人公のエリカ(三十台後半~)が自分のキャリアに悩んだり、妊娠中体重が随分増えたり、マタニティーブルーになったりと、共感が持てます。また、DV(ドメスティックバイオレンス)などの問題も取り上げられていています。でも、一冊目では大活躍だったエリカが2冊目ではあまり活躍してなかったので、ちょっと残念です。今後はもっと活躍してくれるのでしょうか。ところで、本の裏表紙に写真が載っているカミラさんが、またとっても美人で、なんだか「ボーンズ」(アメリカのテレビドラマです。またまた、知らない方、すいません)に出てくるブレナン博士を彷彿させます。

もちろん、この他にも北欧のミステリー作家はたくさんいて、ノルウェーのヨー・ネスボのシリーズはマーティン・スコセッシ監督で映画化されるとか。誰が主人公のハリーを演じるのか、もしかしてディカプリオか、と話題になっていましたが、その後どうなったんでしょうか。

2012/03/27

テネリフェ報告


適度な日焼けとともに、バケーションから帰って参りました。テネリフェは天気もよく、毎日25度くらいでちょうど過ごしやすい気候でした。プールの水温も30度近く、とかなり暖かく、プールサイドのイスに寝そべって、体が太陽の光で熱くなったらプールで冷まし、また寝そべる、という怠惰な時間を満喫しました。子供たちもたくさんプールに入り、たくさんアイスを食べました。こういった時間の過ごし方は、天気の悪いノルウェー(またはスカンジナビア全般)に住んでいる者には大変貴重です。実際、私たちが泊まっていたスカンジナビア系のリゾートホテルは、平日だというのに、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、そしてフィンランドから来た人たちでいっぱいでした。スカンジナビアの長くて暗い冬を乗り切るには、こういったバケーションが必要なようです。

ホテルから徒歩1分のビーチ
ビーチに続く道

ホテルのプールサイドはスカンジナビアから太陽を求めて来た人たちでいっぱい

私たちが泊まっていたホテルは、「ファミリーフレンドリー」なホテルで、小さい子供連れの家族(または、プラスおじいちゃん、おばあちゃん)がほとんどでした。なにが特別かというと、小さい子供が遊べる施設が充実していることです。プールも赤ちゃんや幼児も入れるかなり浅いプールから深めのプールまで何種類も揃っていて、また、遊び場やクラフトルームなどもプールの近くにあります。しかし、子供たちにとって最大の楽しみは、キャラクターたちではないでしょうか。実はそのホテルを選んだ理由は、うちの子供たち(特に下の娘)がそのホテルのキャラクター、ロロ(きりん)とバーニー(くま)が大好きだからです。子供たちは出発前から、ロロとバーニーに会うのを楽しみにしていました。

2012/03/16

バケーションへ、ゴー!

日曜日から1週間バケーションに行って参ります。場所はスペイン領カナリー諸島の中のテネリフェという島。暖かく、ビーチも美しいこの島には沢山のスカンジナビア人がバケーションに訪れます。私たちもおととしのクリスマス前にテネリフェに行ってなかなか良かったので、また今回もテネリフェにしたのですが、前回とはちがう街に滞在します。

祝日でもないのに一週間まるまる休むわけですが、仕事の面では別に問題ありません。確かに、仕事にキリをつけるのに今週少しがんばって働きましたが、基本的にフレキシブルな仕事なので、学部長に一応一週間休みます、と報告したくらいです。ただ、今残っている仕事は、帰ってきてもそのままの状態で残っていて、他の人が変わりにやってくれるわけではないのがフレキシブルな仕事のツラいところでしょうか。娘達も学校や幼稚園を休んで行くので、そっちの方が書類を提出してバケーションを申請したりして大変だったくらいです。

テネリフェで何をするかというと、「ゆっくり」します。リゾートホテルにはいくつもプールがあり、ビーチも徒歩でいける距離です。もちろんレストランもホテルに入っているので、私たちは食事つきのプランをオーダーしました。なので、朝起きて朝食を食べに行って、プールで遊んで、お昼ご飯を食べて、もっとプールで遊んだり、ビーチサイドで昼寝したり、散歩に行ったりしたあと晩御飯を食べて、ホテルの中で催されるショーなど見たりして、部屋に戻って、就寝。朝ゆっくり起きて、朝ごはんを食べて、とこの繰り返し。もちろん街に散歩に行ったりもしますが、基本的にホテル周辺でのんびりします。観光スポットなど、ほとんど行きません。

2012/03/14

共通の経験という強み

先日は懐かしいアニメの話がでましたが(ピッピとゴレンジャー参照)、やはり子供の頃の思い出というものは、ソフトスポットというか、ついつい微笑んでしまう話題ですね。私が外国に住んで少し淋しいと思うのは、こういった子供時代や多感な時代の経験が共有できにくい、ということです。例えば、普通に日本で高校に行っていた人が、「ビバリーヒルズ高校白書」とか、もっと最近でいえば「グリー」とかみたいな、アメリカの高校生活を描いたドラマ(あまり普通の高校ではないにせよ)を見たとき、「へー、そうなんだ」とは思っても、あまり心から共感はしないのではないでしょうか。多少共通の要素はあっても、やはりあまりに世界が違いすぎる。

日本人でも外国人でも、共通項が多いほうが友達になりやすいのは同じです。そして、その共通項が現在進行形であった場合(例えば職場が同じとか、趣味が同じとか、子供が同じ学校に通っているとか)そのぶん今現在共有できる話題も多いですから、親しくなりやすいわけです。しかし、日本人同士で盛り上がる、子供時代や中・高校時代の話題の中で「そうそう!」と言えるあの感覚は、他ではなかなか経験できないものです。それは、今現在や近しい過去に関する「そうそう」と比べて何倍も濃い「そうそう」であるように感じるのは私だけでしょうか。

もしかしたら、単に私が外国に長く暮らしているせいで、そういう感覚の「そうそう」をあまり味わっていない、というだけの話かもしれませんが、私が思うに、子供時代や多感な時代というのは、社会に対してボノラブル、何というか、剥き出しの状態ではないでしょうか。例えば、子供の親への愛情というのは、駆け引きとかのない、とても剥き出しの、直球の愛情ですよね。子供たちはこの、後先、裏表のない直球の感情で世界に向き合っていると思うのです。そして、そんな剥き出しの状態で経験する世界というのは、大人になってからのコントロールされた現実とちがって、かなり直球でその人の中に入って行くのではないでしょうか。そして、その分、その次元で共有できる「そうそう」は、とても濃いものなのではないか、と思うのです。

2012/03/12

ピッピとゴレンジャー

今下の娘が大好きなのが、ピッピ。そうです、あの、長靴下の。ピッピといえばスウェーデンの作家、アストリッド・リンドグレーンの児童文学の名作ですが、ノルウェーでも子供達に人気で、みんな知っています。おもちゃ屋さんに行っても、小さいながらピッピのコーナーがあります。

こんなに北欧の人たちに愛されているピッピですが、私はピッピが北欧出身とは、ノルウェーに来るまで知りませんでした。ピッピについても、小さい頃から知っているわけではなく、多分小学校高学年くらいのときに本を読んだような気がしますが、そのころは、「外国(特にヨーロッパ)」とひとくくりになっていたので、イギリスだろうがアルプスの少女だろうが、あまり国として意識せずに読んでいたと思います。あんなに遠い国の話だと思っていたのに、それが、今その舞台になっている国ではなくとも、その近くに住んでいると思うと、ちょっと驚きです。

娘はピッピの実写版のテレビシリーズも見ていますが、これは夫も子供の頃同じものを見たそうです。なんと、1969年の製作だそうです。40年以上前のテレビドラマを今も放送しているなんて!私は娘がピッピのテレビを見ているときあまり注意を払って見ていなかったのですが、DVDを買ったので一緒に見るようになったら、確かに、これがとてもよくできているのです。私は原作を全部読んでいないので、どの程度原作に忠実なのかは分かりませんが、少なくとも絵本のイラストとドラマの感じはとても似ていて、登場人物もそっくりです。ピッピのペットの猿や馬までそっくり。そして、子役の子達がまた、とっても上手。さすが、40年以上の歳月に耐えうるクオリティーなのだと感心しました。また、私から見ると、一見していかにも古そうな映像に、いまどきの子供達がこんな古臭そうな番組を見るのかな、と思ったのですが、娘達も含めてみんなピッピは好きなようなので、子供からみたら、そんなに古臭そうに見えないのでしょうか。最近の3Dの映画やシュレックも見るけど、ピッピも好き、という組み合わせは、一貫性に欠けるように思うのですが、子供はそんなこと気にしないようです。

ピッピの家の前で。肝心のピッピは現在行方不明中。

2012/03/11

原発のコストとベネフィット

日本人にとっては忘れることのできない日からもう一年になるのですね。私はもちろんノルウェーにいて直接に体験していないのですが、それでも家族の安否を心配したことや、津波の写真を見たときの衝撃、そしてその後の原発の危うい状態など、今思い出しても心臓がどきどきします。

また、私は実家が小千谷市、中越沖地震の震源地だったところです。そのときはアメリカにいたので、やはり直接の被害は受けておらず、アメリカではらはらしていたわけですが、毎日ネットで現在のインフラの状況などを確認して、ガスはまだ直ってない、とか、水道はどうか、とかチェックしていました。ガスも水道もない状態でいったいどんなふうに生活しているのかと心配していましたが、家族の元気そうな声に、こちらがびっくりしたほどです。なので、震災で被害を受けた方々に対しては、他人事とも思えないものがあります。そして、もちろん原発。私の実家は柏崎の原発から半径30キロ圏内です。もしなにかあったら、確実に大変な影響を受ける地域です。ですから、原発に関しても他人事とは思えません。

震災後の夏に日本に帰ったとき、新聞の記事に「このまま原発を維持した場合と代替エネルギーを使った場合のコストの比較」というのが新聞に載っていて、詳しい数字は覚えていませんが、原発に比べて代替エネルギーは何倍も高く見積もられていて、大変びっくりしました。何にびっくりしたかというと、その計算は、現在の原発への国からの補助や、なにか事故があったときのリスクなど、さまざまな要素が計算から抜けていて、原発に有利になるように作ってあるようにしか思えない結果だったからです。

コスト・ベネフィット アナリシス というものがありますが、何かを選択するときに、選択肢に関する利害をちゃんと計って、それを比べてから決めよう、というものです。この場合、利害は金銭的なものに限りません。例えば、大きなダムを作るとき、まわりの自然環境が受けるダメージや、また、ダムの建設によって失われるレクリエーション(ハイキングや川辺での釣りなど)の機会なども勘定に入れなければいけません。原発の場合にも、稼動のコストだけでなく、何か起こってしまった場合のコスト、そして、「何か起こってしまったらどうしよう」とはらはらする地域住民や国民のストレスも勘定に入れるべきです。いえ、冗談でなく。「原発が誤作動するかもしれない、大変な事態になってしまうかもしれない、という心配をしなくて済むならば、自分なら月に電気代500円余分に払ってもいい」と思っていたら、それは立派に「原発を回避することへのベネフィット」であり、原発のコスト・ベネフィット アナリシスに入って然るべきです。

2012/03/08

子供の生命

ちょっと(かなり?)暗い話題かもしれませんので、朝読んでる方は夜まで待った方がいいかもしれません。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
先日、お葬式に行ってきました。亡くなったのは、夫のいとこ夫婦の赤ちゃん。

妊娠初期の時点で、赤ちゃんの心臓にかなり深刻な問題があることが分かっていました。それでも彼らはその赤ちゃんを産むことに決めたのです。赤ちゃんが生まれたら、すぐに集中治療室に入れられるように、いとこ夫婦はオスロの病院に入っていましたが、予定日より一ヶ月以上早く生まれて来てしまい、もともと心臓に欠陥があるのに加えて未熟児。生まれて間もないのに、何度も大きな手術を受けていました。体にたくさんのチューブを着けられてガラスの箱のなかに横たわる赤ちゃんの姿は写真で見るのも痛ましいものでした。この、直接会ったことのない赤ちゃんは、しかし、一ヶ月ほどで、その短い生涯を終えたのでした。

平日のお昼から行われたお葬式に50人ほどの人が集まり、その赤ちゃんにお別れを言ったわけですが、皆さすがに暗い表情です。目頭にハンカチを当てる人もたくさんいます。赤ちゃんの両親とおばあさん(夫のおばさん)も、泣き叫んだりしないでじっと悲しみに耐えている感じが痛々しいです。子供の死というのは、こんなにも人々を暗い、いたたまれない気持ちにさせるのだと実感します。

お葬式に出る前、職場で「今日これからお葬式に行くの。」と同僚に言うと、もちろん「誰の?」とききます。私は正直に「ゴーム(夫)のいとこの赤ちゃんが亡くなったの」と伝えると、それが知らない子でも、みんな、かなりいたたまれない気持ちになるようです。子供のいる人はなおさらです。

赤ちゃんはオスロで生まれてオスロで亡くなったので、お葬式に集まった人たちも、ほとんどがその赤ちゃんに会ったこともないはずです。それでも、小さい棺おけや、その中に横たわる赤ちゃんのことを思うと、とても悲しい気持ちになります。

2012/03/06

様々な英語

ノルウェーに住んでいながらほぼ英語で生活している私ですが、アメリカ生活が長かったため、私の英語はバリバリのアメリカ英語です。だからと言って、「ヨ~、ワッズアップ!」なんて喋っているわけではありませんが、発音や言い回しなど、やはりアメリカ色が濃いです。だからなのか、私にとってイギリス英語は理解するのが難しいです。娘達は英国学校に通っているので、先生方は英国人も多いのですが、会話していて、何度か聞き返さないといけなかったりします。また、単語も違うことが多々あり、例えば、日本でいうベビーカーは、アメリカ英語だとストローラーといいますが、これがイギリス英語だとプラム。オムツもアメリカ英語だとダイパーですが、イギリス英語だとナッピー。先生に「明日ナッピーを持ってきてくださいね」と言われて、一体なんのことかと思ったものです。

しかし、まだイギリス英語は難しいなりにも理解できます。でも、これがスコットランド英語になったりすると、もう何を言っているんだか本当に分からなくなってしまいます。「これが本当に同じ英語?」と思うほどです。お疑いでしたら、ぜひスコットランド映画を見てみてください。アメリカ英語に慣れている人は、字幕なしには理解するのは難しいと思いますよ。

理解しづらいイギリス英語ですが、実はちょっと憧れています。やはり、アメリカ英語に比べて格調高い感じがします。私も学校でイギリス英語を習いたかったな~、と思ってしまいますが、アメリカ軍の占領下にあったのだから、学校で勉強するのがアメリカ英語だったのは仕方ないのでしょうか。ノルウェーの学校ではイギリス英語を勉強するのだそうです。しかし、人によってはっきりアメリカ英語だったり、イギリス英語だったりするのはなぜなのでしょう。単にアメリカに行ったことのある人はアメリカ英語になって戻ってくるのでしょうか。

2012/03/05

国際結婚 私のケース

国際結婚、といわれると、妙に構えた感じにきこえるのは私だけでしょうか。実際に国際結婚している人は、「別に国際結婚をしたわけではなくて、単に結婚した相手が日本人でなかっただけ」みたいに思っている人は多いのでは。私もそのひとりです。しかも、ずーっとアメリカにいたのに、なぜわざわざノルウェー人と結婚してしまったのか、自分でもナゾですが、からっとしたアメリカ人の中で少しカゲのあるヨーロピアンな雰囲気が新鮮だったのでしょうか。もちろん、彼にしても、ずっとアメリカに住んでいたのに、なぜわざわざ日本人の嫁をもらってしまったのかと思っているのかもしれません。ま、お互い様ですね。

私たちは基本的に英語でコミュニケートします。夫は特に日本に興味があったとか日本語を勉強していたとかでは全く無いので、日本語は話せません。そのくせに、「日本語はカンタン、カンタン。ただ英語の言葉を変な言い方で言えばいいんだ」と言い放ち「スプーヌ(スプーンのこと?)」とか「ワイヌ(ワイン?)」とか訳の分からない単語を連発しています。あの、日本語が全部外来語なわけじゃないんですけど。

また、私のノルウェー語の勉強(移民には必須)も時間の無駄だと思っていて、たいして協力してくれないので(ノルウェー語を勉強する時間があるなら、もっとスペイン語とか、役に立つ言語を習得した方がよい、という意見)、私のノルウェー語は上達せず、結局英語が唯一の共通の言語となります。

英語のみで会話しなければいけない、というのは、確かに日本語が母国語の私にはめんどくさい、と思うこともありますが、お互いに第二外国語で話をするのは、実はいいことなのではないか、とも思います。自分の言語だとついすらすらと出てくる為に言い過ぎてしまうことがあっても、英語だと言わないですませられる、ような気がする。これは、夫の両親にも同じことが言えるのではないかと思います。私は、義理の両親とは良好な関係を保っていると思うのですが、もちろん彼らがとても気持ちのよい、いい人たちであることも大きいですが、母国語だとついつい言ってしまう余計な一言を英語だと言わないですませられるため、お互い嫌な気持ちにならなくてすむ、という面もあるように思うのです。

2012/03/04

うるう日にプロポーズ?

同僚がふたり婚約したとききました。とはいっても、そんなにドラマチックな展開ではなく、もともとサンボーエン(日本では事実婚というのでしょうか?英語で言うドメスティックパートナー)で、もうずーっと一緒に住んで子供もいるカップルの話です。それがなぜいまさら婚約なのかというと、先日はうるう日、4年に一度しかこない日ですが、この日は女性からプロポーズしていいことになっているそうです。というわけで、同僚の女性は彼女のパートナーに、同僚の男性はそのパートナーからプロポーズされたそうです。

なぜそんなしきたりになったのかはナゾですが、こんな話はアメリカではきいたことがないので、ノルウェーの、もしくはヨーロッパの習慣なのでしょうか。プロポーズした女性は相手に承諾されれば問題ないですが、もし答えが「ノー」であった場合、リングをしていない指の恥を隠すため、手袋を12枚重ねてはめないといけないそうです。そのようなしきたりがあるのはびっくりですが、それがノルウェーで今でも健在、というのもびっくりです。私はいまどきのノルウェーの女性はそんなしきたりにとらわれず、プロポーズしたかったらするものと思っていたからです。けれど、もう長く実質夫婦として暮らしているようなカップルには、そういうイベントっぽいノリが必要なのかもしれません。同僚の女性は、私が「おめでとう」と言ったら、きょとん、とした顔で、「何の話?」と訊くので、「え、婚約したってきいたけど」と答えると、「ああ、でも私たちもう前から何回もプロポーズし合ってるの。でも、まだ結婚するに至っていないんだけど」とのことでした。一体どういうことなのか、未だに理解できません。

2012/03/01

身長のハンデ

私は背が低いです。150センチしかありません。日本でも昔から列の先頭でした。七夕の度に「背が高くなりますように」とお願いしたのに、結局叶わないままでした。そんな私がアメリカに渡ったとき、実はそこまで身長を意識しませんでした。もちろんアメリカでもチビでしたが、周りに背の低い人もたくさんいたからです。特にアジア人やヒスパニック系の人は(個人差もありますが)わりと小さい人もたくさんいました。また、大学院ではなぜか周りの日本人女子も背の低い人が多く、身長の低さと留学の間には何か相関関係があるのでは、と真面目に考えたほどです。

さて、夫は185センチです。日本やアメリカでは高いですが、ノルウェーではわりと普通です。ちょっとウェブで調べたら、ノルウェー人男性、女性の平均身長はそれぞれ179.9センチと167.2センチだそうです(ちなみに日本は171.2センチと158.8センチ)。ノルウェー男性は平均でほぼ180センチ、つまりこれを中心に標準分布しているわけです。なので、日本ではあまり見かけない190センチ台の人もけっこういます。女性だって平均で私より20センチも背が高いのです。そしてこの背高集団のなかに、ひとり150センチのわたしが混じっているわけです。背が高い人たち何人かと会話するとき、自分の頭の上で会話が行われているような感覚で少し会話に加わりにくいです。子供がぴょんぴょんジャンプをして大人の会話に入りたがっているみたいで、それが私の居心地を悪くさせるのでしょうか。この国では小学生だって私より背が高いのです。

2012/02/29

ノルウェー人とバケーション(2)山小屋でバケーション

ノルウェー人はみんな南の方へバケーションにいくのかと思いきや、実は国内でバケーションする人もたくさんいます。自分達の山小屋に行くのです。たくさんのノルウェー人が山の中にキャビンを持っていて、休みになるとそこに行くのです。山の中、といっても湖もたくさんあるので、夏なら泳いだり、ボートでクルーズしたりできます。夏、子供の学校が休みのあいだ何週間かキャビンに行く、とか、冬スキーをしにキャビンへ、などはよくきく話です。

残念ながら私たちも、夫の家族もキャビンを所有していないので、私たちは普段休みにキャビンに行ったりはしないのですが、少し前に友人夫婦が彼らのキャビンに招待してくれました。そのキャビンはどちらかと言うと質素な部類に入るかもしれませんが、それでも3LDKくらいで十分広く、もちろんシャワーもついていました。中は山小屋っぽくラスティックかつ温かみのあるインテリアでした。私が遊びに行くお宅は若い人の家が多いせいか、お家のインテリアはシンプル アンド モダンという感じが多いのですが、キャビンは別のようで、鹿やトナカイの首が飾ってあるような、「いかにも」な山小屋っぽいインテリアに落ち着くようです。キャビン専門のインテリア雑誌なども見かけるので、やはり自宅とキャビンでは別、ということなのでしょうか。

さて、私たちが遊びに行ったキャビンは、車を停めるスペースから、5分ほど山歩きをしないと玄関にたどり着けません。ちょっとした小道、なんてものではなく、本当に山の斜面の舗装してない道を登っていくのです。私たちは、荷物を全部運ぶのに何度かこの道を往復しなければいけませんでした。この手の不便さに慣れていない私などはぶちぶち文句を言っていたのですが、ノルウェー人夫妻は「山小屋っていうのはこういうものなんだよ」と全く気にしていない様子。それどころか、この山小屋は友人夫のご両親が自分達で建てたのだと教えてくれました。

2012/02/27

ノルウェー人とバケーション(1)南でバケーション


ノルウェー人は必ずバケーションを取ります。有給休暇は全部で4~5週間ほどあり、いっぺんにとる人もいれば、何度かに分けて取る人もいますが、何週間という単位で仕事を休むのは全く珍しくありません。ノルウェー人は有給を取ることを躊躇しません。当然の権利だと思っていますし、他の人もみんな取るので、取りにくい、ということもありません。

わたしたちがまだアメリカに住んでいた頃、孫の顔を見におじいちゃん、おばあちゃんが訪ねてくるわけですが、夫の両親は3週間、うちの母は5日間、という滞在期間でした。母は今は定年していますが、仕事をしていた頃は、1週間の休暇をとるのでも、おそらく随分仕事を調整したり、周りの人に謝ったりして、なんとか1週間の休みとり、また、短い滞在期間中も親戚や職場の人に配るお土産の心配ばかりしていました。その一方で夫の両親は毎日散歩したり、買い物に行ったり、プールに行ったり、孫と遊んだり、ノルウェーにいる孫達におもちゃやお土産を買ったり、週末にはみんなで小旅行に行ったりして、のんびりゆっくり過ごしていきました。こんな風に三週間も仕事を休めるなんて、ノルウェーとは一体どんな国なのだろう、と思ったものです。

そして、自分がノルウェーに住んでみて、なるほどこれではバケーションにも行きたくなるわ、と思いました。なにしろ天気が悪いのです。わたしの住むスタヴァンゲルはノルウェーとはいえ南の方にあるので、冬でも一日太陽が出ない、ということはありませんが、冬の日の短い間は朝まだ真っ暗なうちに起きて、真っ暗なうちに家を出て、仕事に着く頃空が白み始め、家に帰る頃にはもう真っ暗。また曇りや雨の日も多いので、いつもどよ~ん、としています(「天気」参照)。これは、ノルウェーに住んで経験したとこですが、日照時間が短く、暗い時間が長いと、やたらと眠くなってしまうのです。4時半からずっと暗いせいか、もう8時頃には眠くなってしまいます。昼間もあまり元気がでません。クマが冬眠する気持ちも今なら分かります。夏も夏で、天気がいい日は本当に過ごしやすく美しい日々ですが、それは夏の間1~2週間もあればいい方で、その他の日は毎日寒くて半袖やサンダルでは過ごせません。年中こんなだと、体が太陽を欲するのです。ああ、暖かくて明るいところに行きたい、と。

2012/02/26

「安い」という選択肢

先日ノルウェーの物価が高い話をしまして(「ノルウェーやっぱり物価高い!」参照)、ノルウェーはとにかくなんでも高く、特に「安い」という選択肢がないのがツライ、というオブザベーションでした。しかし、私たちは「安い」ということに対してもう少し注意深くなってもよいのでは、と私は日々思っています。安いものを見たときに「安い!ラッキー」と思うところを、一歩下がって、「本当に安いのか」考えてみるのです。

私は去年の夏に日本に帰ったとき、スーパーで食品があまりに安くて驚いてしまいました。お豆腐や油揚げ、納豆などの大豆製品は1個100円以下。しめじ1パック100円(これは小千谷だったからですか?!)。「やっぱり日本はいいな~」と思った反面、私は少し心配になりました。こんな値段で採算がとれるのだろうか、と。

この値段の安さが、例えば新しいテクノロジーにより、今までよりも効率よく梱包ができるようになったから、などイノベーションが理由で値段が下がるのならいいのですが、しかしこれが、例えば工場で働いている人たちが残業代ナシで長時間労働した結果だったとしたら。例えば中国などから安いけれど安全性がいまいち怪しげな原材料を買ってきて作っているのだとしたら。例えば、派遣の人を沢山雇って人件費を削減してコストを抑えているのだとしたら。例えば農家の人が、これではもうやっていけない、と離農してしまったら。

社会に溢れるのは、長い時間休みなく働いて疲れ果てた人たち。働いても働いても生活が豊かにならない最低賃金で働く人たち。お金は稼げてもそれを使って人生を楽しむ時間のない人たち。安全な食べ物を食べてこなかったために、健康を害する人たち。契約を切られたら困るから、と悪条件の労働に文句を言えない派遣の人たち。農業するだけでは食べていけない農家。そして、そういう大人たちを見ながら育ってゆく子供達。たしかに納豆1パックの値段は安く収まるかもしれませんが、わたしたちはその他のところで安い納豆のツケを払っているのではないでしょうか。

2012/02/24

ノルウェーバレエと日本人のアイデンティティー

上の娘(6歳)がバレエを習っているのもあって、きのう二人でバレエを見に行ってきました。見たのは、ノルウェーのナショナルバレエの公演で「ジゼル」。チケットを買った後であまり子供向けの内容でもないな、と気付きましたが(ごく簡単に説明しますと、村娘のジゼルがお忍びで村人のフリをしていた伯爵と恋に落ちるも、彼のウソがばれて、しかも婚約者までいることを知ったジゼルは心の痛手のあまり死んでしまいます。その後、後半では精霊となったジゼルが、精霊の女王が伯爵を踊り殺そうとするのを阻止する、というような内容です)事前に内容を説明しておけばいいだろう、ということにしました。

始めはけっこう熱心に見ていた娘ですが、さすがに後半は疲れてきて、最後の方はかなり眠そうでしたが、2時間の公演を全部見ました。感想としては、ダンサーは皆さん素晴らしく、その美しさにうっとりでした。音楽もよく、バレエに全然なじみの無い私も十分に楽しめました。ただ、私は主役のジゼルを西野麻衣子さんという日本人のダンサーが踊ってくださるものと期待していたのですが、当日の主役は別のダンサーだったので、少しがっかりでした。

実は去年のクリスマスのころ、「くるみ割り人形」を家族で見に行ったときに、彼女が金平糖の精を踊っていて、それがものすごく美しかったのも印象的でしたが、娘が「Hun er janansk (彼女は日本人よ)」と得意げに一緒に観にいっていたイトコやおばあちゃんに話していたのを見て、そういえばノルウェーで日本人がスポットライトを浴びる、という光景はあまり見たことがないと気付きました。

2012/02/23

ノルウェーやっぱり物価高い!

先日フェイスブック経由で知人が送ってくれたランキングによると、世界で一番物価高の都市は、スタヴァンゲル、ノルウェー!だそうです。2位にトロンハイム、3位オスロとノルウェーの都市が続きます。ちなみに東京は12位、大阪は13位でした。

興味のある方、ウェブサイトのリンクはこちらです(英語)。

このランキングはニューヨークを100としています。CPI (コンスーマープライスインデックス)で比べると、スタヴァンゲルは187.33、東京は137.19でした。つまり、スタヴァンゲルはニューヨークに比べて物価が87パーセント高い!例えばニューヨークで1000円で買える物が、スタヴァンゲルでは1873円する計算です。東京では1372円です。外食に至っては、スタヴァンゲル220!ニューヨークで外食するのに比べて倍以上!(ちなにみ、東京はニューヨークよりちょっと安くて90でした)これは、スタヴァンゲルでは何でもアメリカの倍くらいする、という私の感覚とも一致します。

私が感じる日本との大きな違いは、日本では、高いものを探せば、スタヴァンゲルで見つけられる物よりずっと高いものが沢山あります。けれど、安いものを探せばそれも沢山あります。ランチを例にとっても、安く済ませようと思えば、いくらでも安いものが探せるのが日本です。コンビニでおにぎりとお茶を買えば250円とかでしょうか。これがノルウェーだと、安い選択肢がありません。マクドナルドのなんとかセットだって、1200円から1500円くらいしますし、コンビニに行ってもサンドイッチひとつ600円から1000円くらい、そこに飲み物をつければそれだけでプラス400円です。ファーストフードの代表のホットドッグですら、700円くらい。つまり、一番安い選択肢でも700円くらいしてしまう、という状態です。


2012/02/21

便利さの表と裏

先日ノルウェーの選択肢の無さについて触れましたが、それと関連して思うのは、ノルウェーがすごく不便である、ということです。特に日本やアメリカなど、いつでもどこでも、という生活に慣れていると、ノルウェーは想像を絶する不便さです。

毎週土曜日、私は必ずスーパーに買いだめに行きます。なぜなら、日曜日はお店が開いていないからです。なので、少なくとも土曜日、日曜日、そして月曜日の朝ごはんとお弁当用の食べ物を買ってこないといけません。それでも、スーパーは夜9時とかまで開いているので、少し遅くなってもまだ大丈夫です。しかし、薬局は3時には閉まってしまいます。なので、例えばコンタクトレンズの洗浄液が切れたりすると、本当に困ります。24時間営業のドラッグストアなんてものはありませんし、コンタクトレンズの洗浄液とか子供の風邪薬とか、スーパーには売っていないので、土曜日の4時ごろに「あっ!」と思っても遅いのです。お店がはやく閉まってしまうのは平日も一緒で、普通のお店はだいたい5時に閉まってしまいます。

トレイシー マジック

「ちょっと太ったよね」とイトコの言われたのは去年の夏日本に帰ったときでしたっけ。ええ、確かに。二人目が生まれてから3年近くになるのに、まだ体型は戻ってないし、日本に戻ると、ついつい「今しか食べられない!」とばかりに、食いだめしようとするので、いつも太ってノルウェーに戻ることになります。去年は日本から戻ってからスペインのマヨルカにバケーションに行ったのですが、ビキニになるのもツライ体型で、これはなんとかしなければ、と思ったのです。

私は昔から運動があまり得意ではなく、走るのは遅いし、球技は全滅。それでも、人より体が柔らかい方なので、カリフォルニアにいた頃から始めてこの8年ほどずっとヨガをしていました。しかし、子供がいないときは週三回ほど通っていたヨガも、子供が生まれてからは、せいぜい週一回。また、ヨガを始めてわりと早い時期に気がついたのは、ヨガをしたからといって、痩せるとは限らない、ということです。ヨガの先生がみんなすらっと痩せていたわけではないし、自分も、健康にはなっても、別に痩せませんでした。

そこで、去年の9月頃から始めたのがトレイシー アンダーソン メソッド、と呼ばれるプログラム。トレイシーはグェネス パルトローやマドンナのパーソナルトレーナーとして知られる人で、特にグェネスの産後の体型を産前よりもよくしたことで有名です。私も随分昔にトレイシーをテレビで見て、記憶のどこかに残っていたのですが、日本で彼女のDVD付きの本を見つけて、試してみようと思ったわけです。

左はマドンナ、右はグェネスとトレイシー。
トレイシーは背が低いのも親近感を覚えます(私も背が低いので)

彼女のプログラムは半端ではありません。何もしないで痩せる、楽して痩せる、などどいうのは幻想であると彼女のプログラムは教えてくれます。でも、同時に努力した分だけ返ってくる、というのも彼女のプログラムの特徴です。経済学の最初のクラスで教わるのは、タダ飯などどいうものは存在しない、ということ、つまり、何かを得るとき何らかの形で代償を支払わなければならない、ということです。うまい話にはウラがある、と日本でもいいますが、「XXだけで痩せる」みたいなキャッチコピーは信用できません。

2012/02/19

日曜日の晩御飯

日本でも、日曜日の夜は家族で過ごすことが多いのではないでしょうか。ノルウェーでも日曜日の晩御飯は家族で食べることが多いようです。

この週末ウチの子供達はフィヨルドの向こうのタウに住むおじいちゃん、おばあちゃんのところに行っていました(「フェリーでタウへ」参照)。月に一度ほど、週末に子供達だけお泊りに送り込んでいます。金曜日の夜に夫のお母様がスタヴァンゲルのフェリー乗り場まで迎えに来てくれて、子供達を連れてタウに行きます。そして、私と夫が日曜日の昼過ぎにタウに行って、そのまま日曜日の晩ご飯を食べ、そして家に帰って来る、という感じです。夫はここのところ「コムラ」が食べたかったので、夕ご飯はお母様がコムラを作ってくれました。

コムラ、とは何かといいますと、ノルウェーのイモだんごです。これがまた、なんとも美味しくない。これだけ食べても、味も素っ気も無い感じです。このコムラには、付け合せで食べるサイドディッシュがあります。ソーセージと塩漬けの羊肉、そしてコロラビという、オレンジの巨大なカブをマッシュしたものです。場合によっては、そこにベーコンとベーコンの油も付くのですが、今日は溶かしたバター。というわけで、か・な・り・ヘビーです。

左奥のころっ、としているのがコムラ、そのとなりのオレンジのものがコロラビです。右の奥が羊肉、
手前にあるのはゆでたじゃがいも。その上から溶かしバターがかかってます。
コムラは、日本人が食べても全然美味しくありませんが、ノルウェー人はみんな好きです。なぜか木曜日はコムラの日ということになっていて、カフェテリアなどでもこの日はコムラが食べられます。私は、外国人のお客様が来るとこのコムラを食べに連れて行きます。ノルウェーの伝統料理だから話の種に、と言って、たいして美味しくないのを知っていながら連れて行くのでちょっと意地悪ですが、リアクションを見るのが楽しくてやめられません。また、外国人だとこのイモだんごを一個食べるのがやっとですが、ノルウェー人だと平気で2,3個、多い人だと5個くらい食べてしまいます。


2012/02/18

家を建てるって大変!

現在家を建てている話は前にしましたが(「家を建ててます」参照)、正直、こんなに大変とは思いませんでした。めんどくさいんですね、家を建てるって。なにがめんどくさいって、誰か一人窓口の人がいてその人とやりとりをすればいいのではなく、個々の業者といちいちアポを取って、別々に会わないといけないところです。キッチンの業者と会ってキッチンの話をしても、「あ、でもキッチンの蛇口はウチじゃないんですよ、それはバスルームの業者と会って決めてください。あ、それから、両開きの冷蔵庫にするならここの壁を少し延長しないとですね。それは建築の業者と連絡をとってくださいね。」バスルームの業者に会いにいけば、「あ、電気のコンセントや照明は電気の業者と話してくださいね。それから、壁と床は建築の業者と打ち合わせてください。」という感じで。それぞれのテリトリーというものがあるのかもしれませんが、その全員と何度もやりとりしないといけない個人は大変です。

それでも、先週現場を見に行ったら、家の骨組が建って、家らしくなってきていました。この敷地内に、公園やサッカーコートも整備されることになっています。道を挟んだ向こうには幼稚園もあって、休みの日には敷地内の公園で遊んでいいことになっています。また、静かで、車の通りもあまりなく、近くに散歩できる自然エリアもたくさんあります。丘の上にあるので風が少し強いかもしれませんが、2階からは遠くに海も見えるハズ。
右から3番目がウチ。

2012/02/17

ノルウェーの共通番号制度

日本では共通番号制度の導入が閣議決定され、平成27年1月開始をめざす、というニュースを読みました。

ノルウェーではこの共通番号制度、もちろん導入済みです。番号は自分の誕生日6桁プラス5桁の数字、合計11桁からなり、この番号がないと、大げさでなく、ノルウェーではなにもできません。銀行の口座を開くにも、お給料を貰うにも、医者にかかるにも、とにかくなんでもかんでもこの番号が必要になります。私は、引っ越してきた当初妊娠が分かったので医者に行こうとしたのに、この番号をまだ取ってなかったために診てもらえずに苦労した経験があります。でも、この番号を取ってしまったら、あとは全てスムーズでした。

ノルウェーの政府は、誰がどこで生まれて、両親は誰で、どこの学校に通って、どこで働いていて、いくら稼いでいて、どこに住んでいて、誰と結婚していて、子供は何人で、どんな病気をして、病欠は何日取っていて、というような個人の情報を総括的に把握しています。それがひとつのデータベースで管理されていて、役所は必要な情報にアクセスできるわけです。

2012/02/16

ノルウェーで女子会

普段夜に家から出ることなど滅多に無い私ですが、昨日は出かけてきました。行ってきたのは、ノルウェー版女子会、とでも申しましょうか。同僚の女4人で集まってダベろう、という趣向の会です。集まったのは、私と、ノルウェー女子三人。年齢も20代後半から40代前半までばらつきがありましたが、全員子持ちです。私ともう一人は既婚、残る二人ははバツイチのシングルマザーです。また、二人は博士課程の学生、もう一人はポスドク(研究者)です。

集まった場所は参加者のひとりの自宅。時間は8時。平日なのに少し遅いのは、子供を寝かしつけた後に、ということのようです。運転して行ったのでアルコールはナシでしたが、ケーキやパイをつつきながら、仕事のこと、子供のこと、夫や彼氏のこと、家族のことなど、話題はつきません。日本だったら、仕事の後に職場の人と飲みに行ったりするのかもしれませんが、ここは4時や5時には子供を迎えにいかなければいけない国ですから、家族の時間は沢山あっても、実は職場の人とは職場以外であまり会いません。なので、こうやってプライベートで会ってプライベートな話をするのはある意味新鮮です。ランチタイムに一緒にお昼を食べながら話すので、今起こっていることの概要は把握していますが、プライベートだとランチではできないもっとつっこんだ話がきけるというものです。シングルマザー達の波乱万丈の人生の話をききながら、ノルウェーは本当に女の人が元気だな、と思いました。

2012/02/14

選択の自由

私たちは、選択の自由があるのはよい事だと教えられてきました。そして、選択肢は沢山あった方がよいと。日本もアメリカも、選択の自由は沢山あります。スーパーマーケットでも、デパートでも、ブティックでも、スペクトルムの端から端まで、あらゆる嗜好にマッチした商品が並べられています。消費者はその中から自分の一番好きなもの、自分の趣味や嗜好に一番フィットする物を選んで購入することができます。何につけても、日本やアメリカは選択肢が沢山あります。

ノルウェーに来てびっくりしたのは、選択肢の数がやけに少ないことです。例えば、牛乳のメーカーは二つしかありません。それでも、普通の牛乳、低脂肪乳、スキムミルク、など最低限の種類はありますが、日本だったらさらにいろいろなパッケージやら、味やら、子供用のやら、豆乳やら、もっともっと沢山の種類の品物が棚にならんでいるでしょう。例えば、学校のカフェテリア。サンドイッチとスープとサラダバーくらいしかありません。例えば、学校。地域によっては私立の学校などないので、基本的に公立のみです。自分の住む地区の公立の学校に行くのが当たり前で、その他の選択肢はあまりありません。大学の数だって少ないので、留学でもしない限り、あまり選択の余地はありません。ノルウェーは何においても選択肢が少ないのです。

2012/02/13

ラテ修行は続くよどこまでも

前に、私がいかにコーヒーが好きかということを切々と説きましたが(「ラブ コーヒー」参照)、とにかく朝ラテを飲まないと一日が始まらないのです。シアトルやカリフォルニアに住んでいた頃は、別に問題はありませんでした。学校の近くにも、家の近くにもカフェ、もしくはスタバがあったからです。コロラドでは、学校のコーヒーは不味くてとても朝の一杯にはなり得なかったので、私と夫は娘を朝幼稚園に送った後、まずカフェに寄ってコーヒーを飲みながら1~2時間ほどメールのチェックをしたり、仕事をしたりして、それからオフィスに行ったものです。フレキシブルな職でよかった。

そしてノルウェーに引っ越して、同じように朝学校のカフェでコーヒーを飲んでいたのですが、なにしろ値段が高い。毎日二人で、しかも一日何杯も飲めません。そこで、自宅にエスプレッソマシーンを導入して、少なくとも朝の一杯は自分でつくる事にしました。

大切な朝の一杯を作るマシーンです。慎重に選ばなければいけません。けれど、エスプレッソマシーンは種類も色々あって、いったいどれにしたらいいのか分かりません。自分の求めるコーヒーは分かっているので、それに到達できる能力のあるマシーンでなければ、買っても全く意味がないのです。かといってお試しできない。そんなこんなのうちに、地元にある、味わい深い感じのコーヒー・紅茶・ワイン用品専門店に行ってみたところ、そこのオーナーのおじさんがなかなか知識もある印象だったので、そのオーナーの勧めるマシーンを検討してみることにしました。その名は、ミス・シルビア。本当はランチェリオ・シルビアというのですが、通称がミス・シルビア。イタリアのメーカー、ランチェリオ社の製品です。いろいろ調べてみたところ、このミス・シルビアが家庭用の本格的エスプレッソマシーンの走りで、他のマシーンは、このミス・シルビアを真似て作られたそうです。どうやら、このマシーンなら、私の求めるラテが作れそうだと思い、ミス・シルビアに決定。同じくランチェリオ社製のロッキーというグラインダーも買って、とうとうフル装備完了。目指すは理想の朝の一杯。

愛用のマシン、ミス・シルビア

2012/02/12

ノルウェー人のジャンクな食生活

ノルウェーというと、なんとなくナチュラルなイメージがあるかもしれませんが、ノルウェー人がよく食べるものは何かと言うと、なんと、冷凍のピザとコーラ!ノルウェーのイメージを崩してしまったらすいません。でも、実際に住んでいる者の目から見たノルウェーについてのブログなので、ありのままを書くしかありません。

ノルウェー人も自分たちの冷凍ピザ好きを認識していて、やや自嘲的に、ノルウェーの国民食は「ピザグランディオーサ」と言う人もいるほどです。ピザグランディオーサというのは、マーケットシェア1位の定番ピザです。これがまた、ものすご~く普通の、別に美味しくもないピザなので、なぜノルウェー人はみんなこのピザが好きなのか、理解できません。世界一、二を争う豊かな国なのに、こんな食事で満足?!


さらに驚くべきは、ノルウェー人のコーラの消費量です。大人も子供の幼児も、みんなコーラを飲んでます。私は自分の子供にコーラを飲んで欲しくなく、「コーラはだめ!」なんて子供に言っていたのですが、自分たちより小さいイトコも含めてみんな飲んでいるのに、うちだけだめなんて言っても、子供は納得しません。結局なし崩し的にコーラを許す羽目になってしまいました。夫の、「今あんまりダメ、ダメ言っていると、大人になったときにたがが外れてコーラばかり飲んじゃうよ」なんていう言葉に耳をかしたのが間違いでした。その夫は最近タバコを止めたかわりにコーラの消費量が激増。でも、お酒もタバコもいっぺんに止めた人に、コーラもダメ、なんて言えません。おかげで、うちはコーラの缶がごろごろしています。本人にこだわりがあって、プシュッ、と開ける缶コーラじゃないとダメなのです。

2012/02/11

職員旅行はイタリアに決定!

私の働くスタヴァンゲル大学はわりと最近、5年ほど前に大学になったばかりです。その前はもっとコミュニティーカレッジみたいなかんじだったようです。その時代に大きい学部だったのが、ホテルマネージメント。先日100周年を迎えた歴史のある学部です。地元から、そして世界中から学生がホテルマネージメントを学びにこの学部に来ます。なぜこんな話をするかというと、2年ほど前まで経済学部及びビジネスはこのホテルマネージメントの中に入っていたのです。

そのころは、Norwegian School of Hotel Management の中のInstitute for Economics and Managementだったのです。これは経済学者やビジネス系の職員からたいへん不評でした。経済学やビジネスがホテルマネージメントの下にくるのおかしい(その反対ならありえるかも)し、この肩書きは意味不明である、と。なので、私たちは自分の名詞にもこのホテルマネージメントの部分は入れない、自己紹介するときも言わない、という習慣になっていました。

そしてとうとう2年ほど前、ホテルマネージメントと経済・ビジネスは分離することとなりました。それに伴って、私も3階から1階にオフィスを移りました。これは、みんなにとってよい結果を産みました。それまでは、となりのオフィスの人が一体どんな研究をしているのかよくわかりませんでしたが、今では自分と比較的似通った研究をする同僚に変わりました。そういう意味で、もう少し連帯感というものがうまれたように思います。それをさらに強靭にすべく(チームビルディングって言うんですか?)、私の学部では年に一度、職員旅行に行くことになったようです。その年はノルウェー国内でスキー旅行に行ったようですが、私たちはちょうどスペインかどこかにバケーションに行っていたので、職員旅行には行きませんでした。

2012/02/10

障害者にやさしい社会

ノルウェーは概して家族にやさしい社会であると思いますが、障害者にもやさしいようです。

私の同僚の娘さん(8歳)は、ほぼ耳が完全にきこえません。そういう子も普通の学校に行くのだそうですが、どの学校でもいいというのではなく、特別な資格を持った先生がいる学校が地区に一つはあって、その地区の耳のきこえない子はその学校に行くのだそうです。彼は離婚していて、娘さんは2週間ごとに父親と母親の家に交代で住むことになっています。彼(同僚)はたまたま自宅がその学校の近くだったのですが、元奥さんの家は学校から随分離れたところにあります。そして、仕事の都合で、元奥さんは娘さんを学校まで送り迎えすることができません。

さて、ここからがノルウェーです。上記の状況でどんなことが起こるかというと、国が娘さんの為にタクシーを手配してくれるのです。娘さんが元奥さんの家にいる間、毎朝タクシーが迎えに来て、学校まで送ってくれます。学校ではもちろん誰かが迎えに出てくれているので、安心です。帰りも同様、タクシーが来てくれます。ノルウェーはタクシー代も高いので、自腹だったら毎日一万円近くの出費になると思われますが、それを国が負担してくれるのです。

また別の話。夫のクラスに、やはり耳のきこえない学生がいるそうです。彼女は講義に来るわけですが、なんと通訳(というんですか?手話で講義の内容を伝えてくれる人です)を連れてきます。彼女が質問に来るときは、もちろん通訳の人も一緒です。これも、国が負担してくれるようです。

2012/02/09

ノルウェー人と国際結婚(2)アジアからの嫁

私が移民希望者必須の社会学の講習に行っていたとき、クラスメートに何人もタイやフィリピン、インドネシアなど出身でノルウェー人と結婚している女性がいました(日本人はもちろん私のみ)。そして、講習の内容が国際結婚の話に移ったとき、彼女たちの怒りが噴き出したのでした。彼女たち曰く、「私たちは自分の国でそれなりにいい生活を送ってきた。ノルウェーに来たのは愛する人と暮らすためだ。それなのに、ノルウェー人たちは、私たちが金目当てでノルウェーに来たと思っている。まったく腹立たしい!」

また、別の話ですが、私のママ友だった人で、今はもうアメリカに戻ってしまいましたが、ベトナム系アメリカ人の人がいました。彼女はアメリカでは歯医者さん。バリバリのプロフェッショナルです。だんなさんはゲルマン系の白人なので、見た目はノルウェー人です。彼女は、ノルウェーで、周りから「なんとなく下にみられてる気がする。貧しい国からよい暮らしを求めて遠いノルウェーまでやって来たのね、みたいな。」と憤っていました。アメリカでもアジア人に対する差別があると思われるかもしれませんが、アジア系移民は第一世代ががんばって第二世代によい教育を受けさせてきたので、いまどきのアジア系アメリカ人はプロフェッショナルな職に就く人がたくさんいます。私の住んでいたシアトルやカリフォルニアは特に西海岸ということもあって、アジア人の学生が沢山いました。彼らはみんな医者や弁護士になるように親から多大なプレシャーを与えられていました。そんなこともあり、アジア系アメリカ人の社会的地位は決して低くはないと思います。しかも彼女はアメリカでは歯科医としてリスペクトされる地位にあったのです。それがノルウェーでは、ノルウェー人と結婚するしかよい暮らしを得る方法がなかったのね、みたいに見られて、心外だわ、と言っていました。



2012/02/08

ノルウェー人と国際結婚(1)

こちらでノルウェー人と結婚している日本人の人に会うと訊いてしまう質問は「どこで出会ったんですか?」日本人の留学生は少ないし、観光で訪れたとして、そんなうまい具合に出会いってあるんでしょうか?それで、皆さん一体どんな出会いをして、このヨーロッパの北の果てに落ち着くことになったのか、興味があったわけです。

サンプル数が少ないので一般化はできませんが、私が訊いた人ほぼ全員、ノルウェー以外の外国で出会うケースが多いようです(私自身を含めて)。出会った国はアメリカ、日本、イタリア、オーストラリア、と見事にばらばら。日本人もノルウェー人も、外国旅行に行く頻度が高いのでしょうか。

もっと範囲を広げて、外国人の伴侶を持つノルウェー人、または外国人でノルウェー人の伴侶を持つ人たちにも同じ質問をしているのですが(アメリカ人、イギリス人、ドイツ人など)、これも外国で会うケースが多いようです。タイ人やフィリピン人の女性はインターネットで、という人たちもけっこういました。

ノルウェー人の国際結婚についてノルウェーのSSB(中央統計局)で調べてみたところ、少し前の統計しか見つからなかったのですが、国際結婚は増加傾向にあるようです。2004年の統計によると、移民と結婚したノルウェー人は20パーセントほどで、内訳はノルウェー人男性と移民女性の結婚が13パーセント、そしてノルウェー人女性と移民男性が7パーセント、となります。国別に見てみると(下図参照)、ノルウェー人男性は80パーセント以上、ノルウェー人女性は90パーセントほどがノルウェー人と結婚したようです。けれど、例えばロシアやタイ、フィリピンの女性はほとんどがノルウェー人男性と結婚したようです。日本人は少な過ぎるようで、図には入っていませんでしたが、私の知る日本人女性はほぼみんなノルウェー人と結婚しているので、似たような比率になるのではないでしょうか。

出身国、性別の移民でない人(ノルウェー人)と結婚した人の割合
出典http://www.ssb.no/vis/english/magazine/art-2006-10-13-02-en.html

日本の国際結婚事情もついでに調べたら、2010年の統計で4.3パーセント。けっこう少ないんですね。それと比べると、ノルウェーの20パーセント、というのはかなり大きい数字です。5人にひとりは国際結婚している勘定です。

さて、次回パート(2)では、アジア人女性とノルウェー人男性の結婚について考えてみたいと思います。