2012/02/10

障害者にやさしい社会

ノルウェーは概して家族にやさしい社会であると思いますが、障害者にもやさしいようです。

私の同僚の娘さん(8歳)は、ほぼ耳が完全にきこえません。そういう子も普通の学校に行くのだそうですが、どの学校でもいいというのではなく、特別な資格を持った先生がいる学校が地区に一つはあって、その地区の耳のきこえない子はその学校に行くのだそうです。彼は離婚していて、娘さんは2週間ごとに父親と母親の家に交代で住むことになっています。彼(同僚)はたまたま自宅がその学校の近くだったのですが、元奥さんの家は学校から随分離れたところにあります。そして、仕事の都合で、元奥さんは娘さんを学校まで送り迎えすることができません。

さて、ここからがノルウェーです。上記の状況でどんなことが起こるかというと、国が娘さんの為にタクシーを手配してくれるのです。娘さんが元奥さんの家にいる間、毎朝タクシーが迎えに来て、学校まで送ってくれます。学校ではもちろん誰かが迎えに出てくれているので、安心です。帰りも同様、タクシーが来てくれます。ノルウェーはタクシー代も高いので、自腹だったら毎日一万円近くの出費になると思われますが、それを国が負担してくれるのです。

また別の話。夫のクラスに、やはり耳のきこえない学生がいるそうです。彼女は講義に来るわけですが、なんと通訳(というんですか?手話で講義の内容を伝えてくれる人です)を連れてきます。彼女が質問に来るときは、もちろん通訳の人も一緒です。これも、国が負担してくれるようです。



どちらも、個人だったらかなりの負担でしょう。国の補助がなかったら、例えば、同僚の元奥さんは、娘さんのために仕事を変えるか、引越ししなければいけなかったかもしれませんし、学生さんは進学をあきらめなければいかなかったかもしれません。それを、こうして国がサポートしてくれるわけです。

もちろん、これらの補助は空から降ってくるわけではなく、国民の納める税金によって賄われています。例えば、ノルウェーの消費税は25%。所得税だって、収入によっては所得の半分近く持っていかれます。ノルウェーは比較的格差の少ない社会ですが、それは国によって強制的に所得の分配が行われているからです。ノルウェー人はもちろん税金が高いと不平を言いますが、彼らはまた、社会的弱者を守るのは当然と考えます。自分たちのシステムに誇りを持っています。そしてまた同時に、彼らは、自分や自分の家族が守られる立場になったとき(例えば、病気になってしまったときや職を失ってしまったとき)に国のサポートを当てにできるのです。

社会として、弱者を守るのは大切なことだと思います。障害者に限らず、子供やお年寄り、病気の人、妊婦など、みんなが安心して暮らせる社会に日本もなったらいいと思うのですが、あまりに問題が目白押しで、一体どこから手をつけたらいいのか・・・。

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