2012/02/02

ノルウェー人とパーソナルスペース

ノルウェー人は、個人を大切にする人たちです。他の人のスペースを侵すのをよしとしないせいか、外国人からは冷たい、フレンドリーでない、と受け取られるようです。

私が社会学の講習(永住希望者必須)を受けていたときのクラスメート、特にアフリカやラテンアメリカから来ている人達は口々に「ノルウェー人は愛想がない」「道で会ってもほとんど会話もしない」などど文句を言っていましたが、よくよく話を聞いてみると、その人達の国では、道端で会ったら30分程話をして、さらに自宅に招いてお茶でも飲みながらもっと話をするんだ、なんて言っているので、その物差しで計ったら、ノルウェー人だけでなく、世界の先進国の人々のほとんどは無愛想にカテゴライズされてしまいます。

それでも、例えば他の北欧の国、デンマークやスウェーデンと比べても、ノルウェー人は愛想がないというか、あまり外交的でない、とノルウェー人自身も自覚しているようです。



私の学部に一人メキシコ人の博士課程の学生がいます。数少ない外国人同士、よく話をするのですが、この前ノルウェー人のパーソナルスペースの話になりました。彼はメキシコ人なので、例えば異性と話していても、肩や腕をタッチするのはごく自然だし、友達に会ったら頬にキスをするのも習慣だと言います。彼の弟もノルウェーに住んでいて、この前空港に彼の弟とその彼女(ノルウェー人)を迎えに行ったとき、彼は弟君のほっぺにキスをしたのだそうです。それを見て、彼女はひどく驚いたそうです。確かにノルウェー人は、アメリカ人とかと比べてもドライというかシャイというか。スキンシップみたいなものも、少ないようです。

私はもちろん日本人で、別にスキンシップが盛んな文化で育ったわけではありませんが、アメリカに長く住んでいたせいか、アメリカ人ぽさが身についてしまったようで、どうも人と話すときの距離が短い様子。ノルウェー人と話していると、彼らがどんどん後ずさっていくのです。すると、私は無意識に距離を縮めようとして、一歩踏み込みます。すると、彼らはまた一歩後に引くのです。こうして、私たちの話す場所は少しづつ移動していくのです。

この話をそのメキシコ人の学生に話したら、彼も同じ経験をしていることが分かりました。どうやら、私たちのパーソナルスペースはノルウェー人のそれより狭いため、私たちは彼らのパーソナルスペースを侵している様です。確かに、人口密度の低い国、ちょっとくらいゆったりめにパーソナルスペースを取っても大丈夫なのでしょう。また、休みになると、さらに人のいない場所を求めて奥地の山小屋に行くのも納得です。彼らには広々としたスペースが必要なのです。

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