さて、私が働く大学では、私のほかにも食に関する研究をしている人たちがいます。また、食品会社や食の研究をするプライベートのラボなどもあって、食研究のクラスターを形成していますが、実はあまり交流がありませんでした。最近になって、せっかく近くで仕事をしているのだから、もう少し交流の機会を持ったりコラボレーションしたりしていこう、という空気になり、前よりは活発に交流するようになったようです。その中でも、アカデミック寄りの研究者(食関連の研究をしている大学の研究者)で「フードマーケットリサーチグループ」を形成しているのですが、先日そのグループの親睦ディナーがあったのです。
そのディナーというのが、大学の近くにあるガストロノミックインスティテュートであったのです。ガストロノミックインスティテュートは、つまりガストロノミーを研究する機関です。日本でいう料理専門学校に美食倶楽部のエッセンスが加わったかんじ、とでも言いましょうか。そこで、プロのシェフに料理を教わりながら自分たちでディナーを作る、という趣向でした。ノルウェーは一般人の食文化への情熱は薄いようですが、その一方で、トップでは世界レベルのシェフを輩出しています。私たちに料理を教えてくれたシェフも、昨年のシェフのオリンピックで銀メダルを取ったナショナルチームのメンバーでした。そんなシェフたちが教えてくれる料理は、おいしくて簡単で自分でも自宅で作れる、なんていうものでは全然なく、高級レストランで食べるような、複雑で下ごしらえに何時間もかかるようなコース。一応レシピも最後にもらいましたが、3品のコースで10ページ以上あるような文書。多分自分では作らない(作れない)だろう、と全員が思ったわけですが、そんな自分では絶対つくらないようなデリケートな料理をプロのシェフが一緒に作ってくれる、というのも面白いものです。
ラムの背中の肉を骨から離しています。 |