2012/02/05

大学教授・仕事の中身は?

大学教授というのは、職業としてはあまり知られていないのでは、と思い、また、ブログばっかりして本当にちゃんと仕事してるの?と思われても困るので、ここらで仕事内容に少し触れてみたいと思います。

私の仕事は、半分は教えて半分は研究する、というのが大まかな内わけです。教える、といっても、ノルウェー語では教えられないので、私の授業は全て英語。なので、基本は修士・博士のクラスを教えています。今年教えているのは、修士の計量経済学(エコノメトリックス)とマーケティングリサーチメソッドのクラスです。だいたい年にクラスを2つ、多いときは3つ教えます。ひとつのクラスにつき、講義は週に2~3回、一講義2時間くらいでしょうか。2時間の講義の準備をするのに、その何倍もの時間を費やして準備をするので、同じクラスを教えるときは随分ラクですが、新しいクラスを教えるときは、かなりの時間を使います。また、宿題と宿題の解答、コンピューターを使った分析を教えるときはそれ用のエクササイズなども作ります。

もうひとつの柱、研究ですが、私の専門は消費者選択、コンスーマーチョイス、とよばれる分野で、文字通り、消費者がどのように選択するのかを研究します。私の今のテーマはサステナブルマーケット。消費者の、エコラベル、オーガニック、ローカルフード、フェアトレード、など、サステナビリィティーに関連したラベルの品物の選択を研究しています。他にも、健康関連のラベルで、消費者がどのようにヘルシーもしくはあまりヘルシーでない食品を選ぶのかや、産地表示が消費者選択に与える影響なども研究しています。研究地域も、アメリカ、ヨーロッパ、日本、と幅広く研究しています。研究は、同じ大学の研究者だけでなく、アメリカや日本、他のヨーロッパ諸国の人たちと共同でやっています。ひとりで、というのはあまりありません。



私はもともと環境経済に興味があって大学院に進んだのですが、環境問題とマーケットの重なる部分に興味が移り、博士論文はオーガニックのマーケットに関するものでした。また、夫は環境経済学者なので、同じ大学に職を得るには差別化を図らないといけないと思い、わたしはよりマーケティングに傾いた方向の研究をすることにしたわけです。今の大学でのポジションはフードマーケティングの准教授、ということになっています。カテゴリーとしては、経済学とマーケティングが混ざった感じでしょうか。

大学のいいところは、やはり自分のやりたい研究ができる、ということだと思います。同じ大学院の卒業生は、半分くらいは大学に残りますが、残りの半分は政府の機関、国際機関(国連や世銀など)、またはシンクタンクのようなところに就職します。コンサルタントになる人もいます。大学以外で仕事をする人たちは、組織の意向というものがあるので、できる研究というのも制限されます。その点、大学は基本的に自分のやりたい研究ができますが、そのかわり研究費も自分で取ってこないといけません。なので、研究費獲得のためのプロポーザルを書くのも仕事のうちです。

年に2~3回は学会に出席して、論文を発表し、他の研究者とのネットワークを広げます。ちょうど今、夏の学会に向けて論文を提出しています。今のところ、シアトルとプラハ、そしてバルセロナである学会に論文を提出、または提出予定です。

共同研究はしても、実際の作業は一人でするのも多いです。なので、その分フレキシブル、自分のしたいときに仕事ができます。そのかわり、自分がしないと誰も変わりにやってくれないのも本当です。

大学院に進んだ時点では、まさか自分が大学に残って研究者になるとは思っていませんでしたが、今思うと自分に合ってるかな、と思います。

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