2012/04/14

アートの心を育てるのは?

私も夫も特にアートに通じでいるとか、アートの心得があるとかでは全くないのですが、それでも子供たちを美術館などに連れて行ったりして、アートに親しむ努力をしてはいます。とはいえ、キュレータの方々のように、その作品の歴史的な背景を知っているわけでもないので、連れて行っても作品を一緒になんとなく眺めた後、クラフトルームでお絵かきをしたりする程度です。

しかし、先日ロンドンでナショナルギャラリーを訪れた際、6歳の娘と娘の友達は丸々三時間ほど入りびたりで、その広い敷地の全ての展示室を回ったのでした。ナショナルギャラリーを訪れたことのある方はご存知と思いますが、なにしろ何十室も展示室があり、大人でも全部回るのは大変です。ひとつひとつの作品を丁寧に見ていたら一日あっても足りないような展示です。夫などは全部の部屋を回りきる前にもう疲れて、やはり疲れて眠ってしまった下の娘とその辺のイスに座って待っていたほどです。

なぜ娘達が(すぐに飽きちゃうだろう、という予想に反して)そんなに夢中でギャラリーを見て回っていたかというと、一緒に行った娘の友達のママがとても上手に子供たちの興味を引き出していたからです。まず新しい展示室に入ると、彼女は子供たちにその中で一番好きな絵を選ばせます。そして、みんなでその絵の前に立つと、「一歩、二歩」と展示のロープからさらに2歩下がらせ、そこに座り込みます。そして、「この絵の中に何が見える?」「これは何をしているところ?」と、その絵について子供たちに話をさせるのです。そうすると子供たちは我先に「これは散歩しているところ」とか、「りんごが見える」とか、その絵の中にいろいろ発見するわけです。また、有名は絵では、「この絵はね、絵の鏡の中に、この絵の中の人たちのリフレクションが写っているので有名なんだよ。あなたたちにはそのリフレクションが見えるかな?ちょっと見てごらん」という具合に、うまくその絵の特徴を盛り込んで解説してくれます。

さらに、「この絵はね、描いている人が自分自身を描いた絵なんだよ。そういう絵を肖像画、というの。あなたたちも、お家に帰ったら鏡を見ながら自分の顔を描いてみようか?」という感じに、子供たちが自分でもできるアクティビティーにつなげていきます。私は「うまいな~」と、すっかり感心して彼女のガイドっぷりを見ていました。


後で彼女が教えてくれたのは、それらのテクニックは彼女が娘さんと一緒に参加したワークショップで覚えたテクニックだそうです。ナショナルギャラリーでは、子供向けにたくさんのワークショップを開いていて、子供たちがアートに親しむ手伝いをしているようです。その手のワークショップはきっとスタヴァンゲルの地元の美術館でもやっているのではないかと思いますが、私たちは参加したことはありません。しかし、ロンドンでは、そうやって参加したワークショップで、ゴッホやダ・ヴィンチやセザンヌやゴーギャンやミケランジェロやらの、世界レベルの名作に親しめるのは、やはり世界有数の大都市に住む人の特権でしょう。

そして、ロンドンではたくさんの美術館や博物館が入場料タダなのもすごいな、と思います。しかし、とくに大英博物館などに行くと、イギリス人はこれだけの世界の宝を他の国から奪い取ってきたのか、という感想を持つ人も多いようです。メキシコ人の娘の友達のママは、大英博物館に行ったとき、エジプトやラテンアメリカの展示を見て、これらはエジプトやラテンアメリカにあるべき宝なのに、なぜ英国にあるのか、とものすごく怒りを覚えた、と言っていました。そういうのもあって、入場料タダなのでしょうか。

さて、ギャラリーから戻ってきた後、娘の友達のママが、娘と娘の友達では、同じ絵でも気付くところがちがって面白い、と言っていました。お友達はより大きいところに、うちの娘は、より細かいところに目が行くようです。こういうところにも、性格がでるようです。また、戻ってきてから、ギャラリーの冊子をめくっていると、子供たちは「この絵見た!」「これも!」と、たくさん見てきた絵をけっこう覚えているのも驚きでした。

ずいぶん楽しかったようで、また美術館に行きたい、と言っている娘です。ナショナルギャラリーのミュージアムショップで買ってきた絵本などを今も楽しく見ています。日本に帰ったら、ディズニーランドばかりでなく、美術館にも連れて行ってあげよう、などど思っている私です。また、娘は、ナショナルギャラリーの展示ではありませんが、彼女の一番お気に入りの絵、ゴッホの「スターリーナイト」などを真似して絵を描いたりしています。「これを売ってパパとママにお金をあげるからね」とのこと。ふむ、このままいったら将来はもしかして、なんてね。

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