2012/05/29

ノルウェー代表惨敗

サッカーではありません。ユーロビジョンの話です。先日始めてユーロビジョンというものを見ました。ヨーロッパにお住まいの方はご存知と思いますが、ユーロビジョンとは、ヨーロッパ全土の歌合戦と思っていただければいいと思います。国ごとに代表を送り込み、各国の投票によって勝ち負けが決まるわけですが、ミソは自分の国には投票できないところです。先週準決勝が行われ、勝ち残った国の決勝大会が土曜日の夜行われました。結果は・・・ノルウェーは決勝大会まで進んだものの、決勝ではまさかの最下位。ちなみに優勝はスウェーデンでした。

ノルウェーの代表はToojiというイラン系の移民の若くてかっこいい男の子でしたが、「dark and handsome」な彼は、言われなければ「ノルウェー代表」とは分かりません。そういえば、去年の代表もアフリカ系の移民の女の子でしたっけ。この、移民がノルウェーの代表として選ばれる、ということに、私は大変驚きました。ノルウェー代表は、ノルウェー国内で行われるメロディーグランプリという大会で決まりますが、これも国民による人気投票で一番票を集めた人が勝つわけです。Toojiはもちろんこの前哨戦で優勝したから、ヨーロッパ大会に出場できたわけです。ということは、ノルウェーの人たちは、移民が国の代表として大きな大会に出ることに全く違和感を感じない、ということなのでしょうか。

私はこの質問をランチの時間に同僚に訊いてみました。「もちろん、移民も大切なノルウェー社会のメンバーだし、彼らがノルウェーの国を代表するのは素晴らしいことだ」というような答えが返ってくるかと思いきや、返ってきたのはもう少しあやふやな返事。「うーん、多分ノルウェー人はそんなに熱心に投票しないんじゃないかな。移民の方がそういうのは熱心だから、それもあるんじゃない」と、投票人口の偏りという意見が出ました。もちろん、私の同僚はエコノミストやビジネス関係の教授及び院生なので、彼らの意見がノルウェーを反映しているとももちろんいえません。また、ある意味インテリ層の人たちはこの国民、ひいては全ヨーロッパの行事を少し引いた目で見ているのかもしれません。

そして、私にとっても始めて見たユーロビジョンの感想は・・・うーん、派手。ところどころで火や花火が出てきます。お国柄が出ている国もあれば、よりポピュラー路線で行く国もあり、言語も英語で歌う国もあれば、自分の言語で歌う国もあり。優勝するために色々なストラテジーが組まれているのでしょうか。歌も、地味よりは派手でインパクトのある歌の方がいいようです。確かに、この大会で優勝するには、よりユニバーサルにアピールするのが必須です。どこまで国のカラーを出して、どこまでポピュラー路線にするのか、そのさじ加減が難しいのかもしれません。



そして、面白いと思ったのは、投票システム。参加国全部が(48国だったかな?)一国ずつ結果を発表していくのですが、それぞれの国の集計結果により、上位12国に1点から12点まで(1位の国には12点、2位の国には11点、そして12位の国には1点)入るようになっています。つまり、イギリスやフランス、ドイツなどの大国と、他の小国の票が同じ重さを持つのです。イギリスで1位だった国も、セルビアで1位になった国も、どちらも12点が加算されるわけです。これは、公平といえば公平のようですが、不公平といえば不公平な気もします。普段大国の影に隠れがちな沢山の小さい国も日の目を見れる、という趣旨でのルールなのでしょうか。そうやって見ていると、自分の国には投票できない分、近隣の国への投票が目立ちました。小さい国同士、お互いにサポートしている感じです。また、結果発表をきいていて、ヨーロッパって、こんなに色んな国があったのね、と今さらながら驚いてしまいました。

そしてノルウェーは・・・全然票が入りません。結局ノルウェーはスウェーデンやアイスランドからの同情票(?)を少し獲得したのみで、最下位!人気投票な分、ここまで票が入らないと、他の国から好かれてないのかしら、と悲しくなってきてしまいます。マイナーだから?EUに加盟していないから?他の国が大変なのに自分達はあまり金融危機の影響を受けていないから?スウェーデンが一人勝ちで、しかも、ノルウェーとスウェーデンの代表の曲は同じ作曲者だそうで、さらに皮肉です。ノルウェーは、それでも、ノルウェーが数年前に樹立した獲得票の最高記録は未だに破られていない、ということで面子を保ってたようです。

さて、ユーロビジョン、それなりに面白かったですが、それにしても、すごいリソースが費やされています。何ヶ月も前に各国でのグランプリがあり、それからユーロビジョンまで、メディアなどで気分が盛り上げられ、準決勝に二日、そして最終の決勝大会は3時間半の生中継。開催国のアゼルバイジャンでは、このために新しいコンサートホールまで作っちゃったようです。ヨーロッパに長く住んでいない私にはいまいち理解できませんが、この大会がヨーロッパの人にとってとても重要であるらしい、というのは分かります。来年は今回の優勝国、スウェーデンで開催されることになっています。ノルウェー、来年はせめて最下位脱出してね。

2 件のコメント:

  1. 2009年にノルウェー代表が優勝した時は大騒ぎでした。インターで『Alexander Rybakについて調べましょう』という宿題が出たり、Radio Norgeでも延々Fairytaleがかかり、今でも家族全員口ずさめます(^^) そういえば彼もロシア系の移民ですね。翌年テレノールアレナでやった大会も大盛り上がりで、街中で人々が踊りまくってました。今年は残念な感じだったようで、しかもスウェーデンが優勝となるとノルウェー人は複雑な心境でしょうね(笑)日本ではもっぱら準優勝の『ブラノボのおばあちゃん』が話題となっておりました。
    ちなみにサッカーのノルウェー代表もイングランド(一軍半くらいのメンツでしたが)に負けてしまいましたね(^_^;)

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    1. うちの娘はさっそくユーロビジョンのCDを買ってもらい、ロシアのおばあちゃんやスウェーデン代表やノルウェー代表の歌を何度も聴いています。おかげで私の頭の中もすっかり「Party for everybody dance!」

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