2012/05/11

子供と日本語

たまにスタヴァンゲル在住の日本人のお母さん達に会う機会があります。みなさんノルウェー人と結婚してここに住んでいるので、子供はみんな日ノルのハーフです。こうして日本語を話す機会があるのは、私にとってもリフレッシングであり、また、子供たちにとっても、数少ない日本語の会話を耳にするチャンス。そして、もしかして日本語で会話してくれるかも、なんていう期待もしているのですが、なかなかそううまくもいきません。

うちの娘以外の子供たちはみんなノルウェーの学校や幼稚園に行っているのがほとんどです。幼稚園は英語ノルウェー語両方のところに行っている子もいますが、小学校からはノルウェーの学校に行くようです。それは当然といえば当然で、ノルウェーでは大多数の子供たちが公立学校に通うので、普通にノルウェーで生活していたらノルウェーの学校に行くのが当たり前です。なので、私が会ったことのある日本人とノルウェー人のハーフの子は、ほとんどノルウェー語が第一言語です。もちろんノルウェーでは小学校1年生から英語を習うので、みんな最終的には英語が話せるようになると思いますが、小学校入学前や低学年の段階では、英語はあくまでも第二言語で、そんなに上手くは喋れないようです。

一方、ウチの子供たちの場合、英語とノルウェー語、どちらが母国語なのか、私にもよくわかりません。毎日学校で英語を喋っている分英語が話しやすいようですが、ノルウェー語も別に問題なく使っています。ノルウェーに住んでいて、自然に耳に入ってくるのと、夫や夫の家族とのコミュニケーションからくるのでしょうか。確かなのは、彼女たちの母国語は日本語ではない、ということです。

ウチでは、子供たちは「ママはノルウェー語が下手」というのを知っているので、私にノルウェー語では話しません。同時に、「ママは英語が話せる」というのも知っているので、日本語でも話してくれません。なので、先日日本人の研究者の人が来ていたとき、「彼は日本語しか喋れないから、日本語で話してあげてね」と言って日本語で会話をさせようとしたのですが、彼が夫と英語で喋っていたため、ウソは早速見抜かれてしまい、「He CAN speak English!」と言って、それからは英語でしか喋ってくれませんでした。まあ、ちょっとムリがあったかな。


さて、日ノルカップルは英語で会話することもけっこう多いようです。自分のノルウェー語が達者ではなく、旦那さんが日本語が喋れなければ、どうしてもそうなってしまうのでしょう。ウチも、もちろんそのケース。そうすると、子供が日本語に触れる機会というのは、圧倒的に少なくなります。そして、子供にとっては、日本語が一番役に立たない言語、ということになります。なにしろ、母親と、たま~に会う他の日本人の大人としか使えないのですから。あとは、年一度日本に帰ったときくらい。それでは機会がマレすぎて、あまり「がんばって喋ろう」という動機は働かないようです。さらに、ノルウェー語と英語は同じ言語族なので似ています。しかし日本語は、英語ともノルウェー語とも全くかけ離れていて、その分難しい。これでは、子供たちが日本語をあまり話したがらないのも理解できます。先日の日本人の集まりでも、子供たちはノルウェー語や英語で話していて、日本語など、ほぼ全くでてきませんでした。

しかし、そうすると、日本人の母親は、ノルウェー語がそれなりに上手くないと、子供との意思の疎通が難しくなるようです。なにしろ、子供はノルウェー語で話してくるわけで、ただでさえ小さい子供の言うことは理解しにくいのに、それが外国語でこられたら、たしかに大変です。そして、母親の理解が遅いと、子供はどんどんフラストレートして、ますます何を言っているのかわからなくなってしまいます。ウチは子供は英語で話しかけてくるので、あまりそんなことを考えたことがなかったのですが、確かに子供が英語も日本語も喋れなかったら、う~ん、途方に暮れてしまうかもしれません。

子供に日本語を教える、というのは、外国に住む日本人の親ならばみんな苦労しているのではないでしょうか。日本人が沢山いる地域では日本語の学校などもあるのかもしれませんし、クラスメートに日本人がいたりするかもしれませんが、スタヴァンゲルではそれは期待できません。しかし、言語が究極的にツール(道具)である限り、使わなければ上手くならないし、上手くなるには使わなければいけません。子供がもう少し大きくなったら、日本語というツールがあれば、1億人以上の人と意思の疎通が図れるようになる、というメリットを理解してくれるようになるのでしょうか。

2 件のコメント:

  1. 今日は~!

    うちもノルウェー人の主人とは英語で会話です。
    娘達はインターナショナルスクールに行ったので
    英語が多分一番楽な言語だと思います。

    ジュネーヴの日本語補習校に小学6年まで行かせました。
    もう2人とも成人ですが 私との会話は日本語です。
    幼稚園に上がる頃から 日本語が中々出なくなった事がありました。
    で、私は日本語で話してこないと返事をしませんでした。
    今思うと 鬼母(笑)
    でもお陰で 娘達は日常会話で日本語は今でも大丈夫です。
    思うに 私が専業主婦でいたのも幸いしたのだと思います。

    返信削除
    返信
    1. そうやって「日本語じゃないとダメ」と、ばしっ、と言えた加代子さんはすごいと思います。私はそこまでの忍耐力がないです。

      削除