2012/07/29

日本の小学生とノルウェー交流

娘がこの度日本でお世話になっていた小学校は、私の母校でもあります。ん十年前に私が通っていた頃と比べると、校舎が新しくなり(中越地震の後建て直されたようです)、また、子供の数が減りました。第二次ベビーブームだった私の世代の頃は全校で1600人いたものですが、今では900人ほどになったようです。とはいえ、卒業してから訪ねることもなかった小学校に娘が3週間お世話になることになり、急にまた母校と関わりを持つこととなりました。そして、「国際理解教育」の一環として、私から小学校の子供たちにノルウェーについて話をすることになりました。

これは、実は私の方から学校に持ちかけたものです。娘は学校に通うことで日本という国や文化を吸収できますが、日本の子供たちにとっては、娘の日本語能力という問題もあり、ちょっと中途半端な交流になってしまうのではないかと思ったのもありますが、子供たちにとって、娘という媒体を通して他の国について学ぶ絶好のチャンスだと思ったからです。私の実家は田舎にあるので、大きい都市と比べると、どうしてもナマで外国に接触する機会というのは限られます。私は結果的に外国に行く、という道を選んだわけですが、なぜそうなったのか、今考えても不思議なほど、私は育っていく過程で外国との接点というものはありませんでした。大学留学するに至って初めてパスポートを取ったほどです。なので、小学生の時点で小さくても外国との接点を持つのはいいことなのではないかと思ったのです。

別に全員留学してほしい、と思っているわけではありませんが、外からの視点を持つ、というのはとても大切だと思うのです。これは、日本という国でもそうですし、個人としても同じことです。常に第三者的視線で物事を見る、というのはとても重要です。そして、外国について知るということは、この目線を培う上での有効なトレーニングとなりますし、もちろん外国に行ったり、外国人と接したりする上でも必要となります。「国際理解 イコール 英語」みたいな図式があるような気もしますが、英語はあくまでも道具であって、目的ではありません。英語が話せる、外国についての知識がある、というのは枝葉の部分であり、いちばん根っこにあるのは、柔軟な視点や考え方を持てるか、といったところにあるように思います。

さて、そういはいっても、私はもっと大きな子供たち(中には私より年上の生徒も混じっています)に教えるのは仕事とはいえ、小学生相手に喋ったことなどありません。小学生にもわかりやすく、そして興味深い内容にするにはどんなことを話したらいいのか。難しい。前に「ノルウェー夢ネット」主催の講演に呼んでいただいたときは、ノルウェーの社会、特に社会福祉やワークライフバランス系の話をしたのですが、小学生に福祉の話もどうだか。また、1年生から4年生対象、ということで、広い範囲にアピールする内容が求められます。結局、ノルウェーの国についてのファクトを少し(人口とか言語とか、ノルウェー語のじゃんけんにも挑戦しました)、そして、娘たちの学校や普段の生活について写真をたくさん織り交ぜた発表となりました。

結果は、かなり評判良かったです。何より、子供たちの反応のよさにびっくりです。「ええ、そうなんだ!」と思えば、「ええ~!」の反応が出てくる。分からなければ「なんで?」また、話が終わった後の質問も次から次へと出てくる。こんな素直な反応は新鮮です。また、学年ごとに反応も違って、大人の世界ではそんなに大差ない2,3歳の差も、子供の時点ではやっぱり大きな開きがあるのだと実感しました。そんな子供たちの、ノルウェーびっくりベスト3は、といいますと・・・

3位 人が少ない
同じくらいの国土に、人口は日本の20分の一以下、ときいてみんなびっくりでした。

2位 クリスマスにたくさんプレゼントが貰える
クリスマスには、両親、祖父母、叔父叔母、いとこ、と、色々な人からプレゼントを貰うので、ひとり10個も20個もプレゼントをもらうんだよ、ときいて、プレゼントはせいぜい1,2個、という日本の子供たちはびっくりでした。でも、君たちはノルウェーの子供たちと違って、お年玉貰うよね。

1位 夏休みは長くて、しかも宿題がない
一番びっくりしていたのは、これ。「自分もノルウェーに住みたい」という子続出でした。まあ、私も夏休み最終日に絵日記まとめて書いてたクチなので、気持ちは分かるよ。

子供たちはみんな一生懸命私の話をきいてくれ、素直に驚き、ノルウェーへの興味を深めてくれました。私も、日本の子供たちのオープンさ、素直さ、まっすぐさに感激しました。この子たちが、このまま、まっすぐ育ってくれますように。

ちなみに、子供たちから、感想のお手紙までいただきました。みなさん、どうもありがとう!

4 件のコメント:

  1. こんにちは、初めまして。
    私も教育関係の仕事をしていて、ノルウェーの『学校仲裁所』という子ども達自身が自分たちでもめ事を解決する制度を調べていて、Yukoさんのこちらのページに来ることができました。大変楽しいお話ばかりでずっと読んでしまいました。
    いつの時代も子どもはまっすぐで、その子らが大人の背中を見て育つのですね。
    子どもらの夏休みのリアクションがおもしろいですね!子ども達にとって夏休みは心待ちにしている”イベント“のようなものですね^^

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    1. 学校仲裁所というのは初めてききました。興味深いですね。
      日本は夏休みですが、娘たちは来週から学校です。
      はやく学校に戻って友達と遊びたい、と言っています。
      宿題がない分、新学期が始まることへの抵抗も少ないのでしょうか(笑)。

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  2. こんばんは。Yukoさん。初めまして、ブログを読ませて頂いています。
    三つ子の魂ではありませんが、小さなときに世の中は大きな世界が待っていることを知るのは大事だと思います。
    今の日本は閉塞感があって、いじめの問題やらもありますし、世界は広いんだということを理解していろいろな境遇の人が居て、自分が存在するんだと何となくでも分かると、生き方が変わる気がしますし。
     難しいことは言えませんが、知らない世界に子供は興味津々なものです。しかも、楽しいはず。今回のことはとても楽しい交流になったと思います。
    二人のお嬢様が日本の夏を楽しく有意義に過ごせますように。

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    1. 本当ですね。
      学校に行っていると、その世界がすべてのように感じてしまい、その外に世界があることを忘れてしまうところはありますよね。

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