異様に忙しかった一週間が終わりました。アメリカ人の同僚が帰ったのと入れ替わりに、ノルウェーの大学でリサーチをしている日本人の若い研究者の人が来ていたのです。それに加えて、ノルウェー人の同僚の博士号のディフェンスがあり、さらに娘のバレエの発表会などもあって、本当に忙しかった!書き所盛りだくさんの一週間でしたが、とりあえず今日は博士号のディフェンスの話をしたいと思います。
学校や学部によって様々ですが、博士課程終了時に「ディフェンス」をするのは珍しいことではありません。ディフェンス(防衛)というのは、自分の研究について発表し、それに対してオポーネント(敵)がいろいろ質問し、またその質問に答えて自分の研究をディフェンド(防御)する、という一連の学術的なやりとりのことです。このディフェンスの形式も様々で、私が前に働いていたコロラドでは、ディフェンスは内部でのみ行われていました。つまり、オポーネントも出席者も学部内の人に限られていました。しかし、ノルウェーではこれが外部にも開かれています。オポーネントは二人いるのですが、二人とも学部外から招聘されます。内部で行われるディフェンスの場合、内部でのみ通用するような基準で評価がなされる危険性がありますが、外部評価の場合、国際基準で判定されるということです。また、誰でも出席できるので、学部外の人はもちろん、家族や友人まで来るので、緊張感も倍増です。そういう意味で、ノルウェーのディフェンスはかなりフォーマルです。
さて、ノルウェー人の同僚で、1月からポスドクを始めたばかりの女性がいます。彼女はもともと栄養士として働いていとのですが、博士を取ることに決めて、10歳から12歳くらいの子供の健康な食事習慣について研究していましたが、とうとう先日ディフェンスをしたのです。オポーネントは、その分野では国際的にも名の通っているベルギー人の女性研究者と、同じくその分野でいろいろ論文も出しているノルウェー人の男性研究者のふたり。名前は知っていても、特に面識はないそうで、一体どんな質問をされるのか、全くわかりません。彼女はもう一ヶ月も前から準備して、ずっと緊張しまくっていました。
当日、まずは「トライアル レクチャー」といわれるものから始まります。トライアルレクチャーは、2週間前に与えられた題について、1時間レクチャーするというものです。題は自分の研究内容に関連したものが与えられるようですが、それを一般の人にも分かるように、分かりやすくレクチャーすることになっています。会場のレクチャーホールは、50人ほどの人が彼女のレクチャーをきいていました。学部の人も沢山来ていますが、彼女の家族や友人らしき人たちの姿も見えます。彼女は落ち着いた様子でレクチャーを始め、内容もわかりやすくまとめてあり、とてもよくできたレクチャーでした。このレクチャーのあと、オポーネントと学部内の代表からなるコミティー(委員会?)が、今のレクチャーは博士号取得に値するかどうか審議します。それもかねて、昼食休憩が取られました。
右に立っているのが同僚。左はオポーネント。 |